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January 04, 2016

サウジアラビアとイランが大げんか

新年に発生したニュースの中で、潜在的な破壊力が最も大きいのは、サウジVSイラン問題。

Saudi20160101サウジが国内シーア派の指導的地位にあった二ムル師の処刑を断行したことにイランは反発、怒った群衆がテヘランのサウジ大使館に押しかけ、火炎瓶で襲撃。

サウジはイランとの国交断絶を宣言しました。

ニムル師の活動拠点だったカティーフは、地図のとおり、「イランの出張所」とでも言えるような位置にあります。
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二ムル師はサウジ東部に生まれ、イランへ宗教留学した後、90年代に帰国。
過激な王政批判で知られ、サウジ政府から見れば、反体制の過激なアジテーターという位置づけです。

そもそも、同じアラブ圏のイスラム教国家と言っても、スンニ派サウジとシーア派イランは仲が悪いのです。

という説明は正しくなく、イラン人はアラブではなく、ペルシャ帝国の末裔です。

紀元前6世紀、アケメネス朝ペルシアの初代国王キュロス2世は、古代オリエント諸国を統一して空前の大帝国を建設。イランの建国者と称えられています。

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イランは、1979年の革命で親米のパーレビを追放し、宗教指導者の下でイスラム共和制を採用。

どこまで公正かはともかく、大統領と議員を選ぶ選挙が定期的に実施されます。
人口は7500万人の大国です。

方やサウジは、砂漠に石油が発見されたことで急成長した新興国家。
人口は3000万人。
サウード家を国王とする絶対君主制国家です。

王制を打倒したイラン革命の立場からは、サウジに批判的となるのは当然です。

イエメンでは、サウジとイランが代理戦争。
スンニ派のハディ大統領をサウジが支援、対抗するシーア派のフーシをイランが支援。

シリアでは、アラウィー派(シーア派から派生)のアサドをイランが支援。
反体制派をサウジが支援しているので、援助の一部はISにも渡っています。

ひとまず原油相場は上昇していますが、サウジとイランの叩き合いで、むしろ供給過剰が助長されかねないという観測もあるようです。

イランはシーア派の多いサウジ東部での反政府活動への支援を強めるでしょうから、サウジは早速その地域に増兵して治安維持にあたっています。

両国を仲裁できるとしたら誰か。

そもそもアメリカがサウジからイラン寄りにシフトしたことが緊張を高めた一因ですから、アメリカには無理。

こういう時に読みが上手いのは、やはりプーチンでしょうか。

ロシアはアサド支持なので、基本イランと利害一致するものの、サウジはロシアの武器を欲しがっていますし、原油価格が安定を取り戻すような協調ならサウジも乗るかもしれません。

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