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January 26, 2016

ビットコインはどのようにして動いているのか?

255585_01_1_2l「ビットコインはどのようにして動いているのか? ビザンチン将軍問題、ハッシュ関数、ブロックチェーン、PoWプロトコル」の著者は、ビットコインに関する旗振り役として、多数の関連著書がある大石哲之氏。
紙の分量にして、66ページのコンパクトな本です。

最近、株式市場においても、フィンテックやブロックチェーンという言葉に反応して大きく株価が動くケースが増えていますが、ビットコインの中核的な技術であるブロックチェーンを、初心者にも分かりやすく説明しようというのが本書のメインテーマです。

そもそも国家や中央集権的な管理機構のないビットコインが、いかにして正しい取引を保証することが出来るのか。
それを実現したのがブロックチェーン、即ち、ネットワーク全体が承認した取引データベースの仕組みです。

では、このデータベース(ブロックチェーン)は、いかにして虚偽の記録を排除し、合意(承認)された取引記録だけを増やし続けていくことが出来るのか。

ポイントは、「悪事には時間と手間がかかりすぎて割が合わないので、システムを正当に維持しようとする意思、即ち全体の合意が勝る仕組み」ということになります。

この点に注目すると、いかにも民主主義的であり、警察がいなくても犯罪が割に合わないという合意形成が犯罪者を社会から閉めだす、という一種の理想を仮想通貨上で実現したようにも読めます。

これは、一般的にリベラルな考え方の強いシリコンバレーとも、相性が良さそうです。

但し、現実はそれほど簡単でも理想的でもなく、今月14日、ビットコインの著名なデベロッパーであるマイク・ハーンは、この暗号通貨は失敗であると宣言し、自分のビットコインの全量を売却したことが明らかになっています。

ハーンの撤退は、ハーン自身のビットコインに関する「改修提案」が受け入られなかったことに絶望した、という背景があるようですから、ある意味で民主的にコミュニティから追い出されたとも言えますし、もしハーンが正しいのであれば、多数決が正しいとは限らないという民主主義の限界を示したものと捉えることも可能です。

強い権力を与えられた管理者がいなくても、本当に「荒し」「欺し」「改竄」を防げるのか、また正しく発展・改修していけるのかといった課題は解決されておらず、ビットコインは大化けする可能性がある一方、システム的な問題や競合との敗北により消えていく可能性も大いにあると思います。

権力の分散を最も嫌がっている代表格といえば中国共産党でしょうが、今月20日、中国人民銀行は、中央銀行が発行するデジタル通貨を検討していると発表しました。
中国オリジナルのビットコイン、と報道しているメディアもあります。

もしブロックチェーン技術を応用した取り組みが金融の世界で広まるなら、そこに国家権力の及ばない経済活動領域が生まれる可能性もあり、中国当局は、自らが管理する電子通貨によって、無政府的な仮想通貨を取り込んでしまいたいのでしょうが、そもそもこのような発表をすること自体、ブロックチェーン技術の将来性に脅えている証拠だとも言えます。

現在開催中のダボス会議では、ドイツ銀行のジョン・クライアンCEOが、現物通貨は10年以内になくなると予測したとの報道もされています。

ちょっと大胆すぎる予想に思えますが、金融業界の専門家たちが、通貨や決済といった分野でのデジタル化に大いなるビジネスチャンスがあると思っていること自体は間違いなさそうです。

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