日経平均は節目の15000円割れ
2月12日(金)の日経平均は、14,953円(▲761円)。
今回の下げの主役である金融株の代表「三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)」を観察してみると、一時プラスとなる時間帯もありましたが、最後は弱気に押されてマイナスに沈んでいます。
但し、日経平均に比べると下げ幅は半分で、流石に下げすぎを意識する人が増えているのではないかと感じられました。
この日の日経平均の安値14,866円は、25日移動平均線乖離率▲12.4%。
過去にリバウンドがあった昨年8月25日の▲12.2%、今年1月21日▲11.7%に並びました。
8/25のケースは、その後3日間で7.5%の反発、1/21は同じく1週間で11.5%の反発です。
そもそもアベノミクスとは、政府と日銀が協力して円安株高を演出する官製相場です。
親分が弾を撃ち尽くしたとなれば小判鮫は一斉に相場から降りると言う形で、まずはバズーカ第二弾の完全否定が行われるだろうということですが、金曜の終値14,953円は、2014年10月14日レベルであり、あっさりと成功(屈服?)しました。
この先、ドル円=100円までは想定しておくべきだと思っているので、まだ下げの前半戦が終わっただけの可能性はあるものの、いくら何でも株価の下げスピードが早すぎるという印象です。
15000円近辺は、2013年後半から2014年前半まで1年近く揉み合った水準ですから、この岩盤はそれなりに堅いはずですし、更には、既に2014年10月の株価水準を大きく下回り、PER一桁台の銘柄も散見されるので、少し買いました。
2011年以降の日経平均をざっくり見ると、ドル円80円=日経平均10000円から始まり、100円=15000円を経て、120円=20000円でピークアウト。
40円で1万円アップですから、1円で250円の効果。
この相関だと、現状の113円では18000円近辺のはずですが、現実には、上がる時は1円=250円で、下げは、1円=500円以上にもなっています。
為替に比べて株は下げ過ぎだから戻る、というのが歓迎すべき解釈ですが、そうでないとした場合の理解は、株式の環境=世界経済は以前より悪い、ということです。
中国経済減速、原油安長期化、アメリカ経済も下り坂、ドイツの銀行不安、難民・テロ問題、イギリスのEU離脱懸念、北朝鮮の暴発...
その他、日本国内に理由を求めるなら、マイナス金利トリガー説、東芝・旭化成・東洋ゴム、タカタなど企業統治がっかり説、昨年上がりすぎた説、週間文春連続ショック説などがありますが、いずれにせよ倍のスピードで下がってくるとは思いませんでした。
逆に為替の方から見ると、15000円=100円が、15000円=110円程度に変化したのは、為替の重心がドル高の方向にシフトした原因があるのでは、ということになります。
株価15000円と見合う為替レートが10円も動いたのは、日本がドルを買ってドル円相場を上にスライドさせたことになりますが、例えばGPIFや生保の外貨投資が増えたことや海外に貯めた企業利益を国内に戻していないこと等が考えられます。
こうした蓄積が、円安水準を以前よりも持ち上げているとするなら、これらが今の円高傾向でも維持されるのか、それとも慌てて円に戻されるのかが、ドル円相場の重要なファクターになると思われます。
いずれにせよ、ドル側からの圧力もあり、ドル円100~105円の想定は必要ですが、その際の株価水準は、日本企業が、この3年の余裕期間にどこまで体質を強化できたかで決まることになりそうです。
Comments
いつもありがとうございます。
私も金曜引けで少し買いました。(職業柄個別が買えないので厳しいですが)
ドル100~105円と見た場合、下値は13000円程度と見ていましたが、ご指摘のとおり、外部環境が違うのでもう少し下かもしれませんね。参考にさせていただきます。
為替といえば、「3月末までに115円~120円」と言っていたみずほの鎌唐氏が「3月末105円」と変更されていて、「今年中に110円」と言っていた佐々木融氏が「3月末は115円」と答えているあたりが面白いと思いました。
円安と言っていた方々はそもそもあてにならないので気にしていませんが、円高派の中でも見通しが異なるあたりが現在のスピードの行き過ぎを示していそうです。
ところで、円高を見越していたakazukin氏が、株式をホールドしていらっしゃったのは、「長期資産形成には売らないことが重要」というお考えでしょうか?
さしつかなければお聞かせいただければ。
どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: よしだ | February 14, 2016 08:36 AM
よしださん、こんにちは。
100~105円の見通し難しくなってしまいましたが、ここから一旦115円=16000円に戻して再度下げスタートをメインシナリオとすると、10円下がって3000円ですから、13000円で良いような気もしますが、最近あまりに簡単に崩されやすいのと、10000~13000円のチャートもスカなので、念のため下も考えておくという感じでしょうか。
JPM佐々木氏は、去年11月段階で、第1Q115 円→117→113→110円予想と、115円から少し反発して110円説なので、少し早めに深押しが実現したという感じですね。
ちなみに「長期資産形成には売らないことが重要」とは全く考えていません。
時代は変わり、事実上成長のない世界に入っていますから、結果を出すのが良い取引で、B&Hは過去の遺物だと思います。
円高の可能性は高いと思っていましたが、これも絶対ではないので、手持ちのドルの一部を年初に円に替えた上で、現物ポートはディフェンシブに構えました。
日米豪REIT、アメリカの通信電力株、金鉱銘柄・優先株・債券ETFなどを中心とし、β値の高いものは減らしてキャッシュ比率を自分のアラートレベルにしていたら、いきなりドーンと来ました。
本当は、FXでドルショートを振って差し引きはプラスです、とかだと格好良いのですが、結局は確率のゲームなので、一方に完全に向くのは難しく、とにかく今年はダメージを限定的にすることが第一と思い、その点では(マイナスながら)想定の範囲に収まっています。
来週くらいは、少し安堵させて欲しいものですね。w
今後とも、よろしくお願いいたします。
Posted by: akazukin | February 14, 2016 10:13 AM
ご返答ありがとうございます。
JPM佐々木氏はそういう予想でしたか。多少下目にふれていくかもしれませんが、参考にしたいと思います。
B&Hではなく、不確実性(円高100%とは言い切れない)を考慮して、ディフェンシブ目ということですね。
私もディフェンシブ目にしていたので、うまく備えられているかと思っていたのですが、週末に集計したら、想定を超えたマイナスでした。
買いたいと思っていた物を「やっぱりやめよう」と思いましたので、逆資産効果がでてくるかもしれません(笑)
今週は落ちつかせてほしいですね。ボラタイルな日々だと心が疲れます。
また記事を楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
Posted by: よしだ | February 15, 2016 08:53 AM