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April 10, 2016

13日は韓国総選挙

マーケットへの影響は大きくないと思いますが、来週の韓国総選挙について、ざっと見ておきたいと思います。

現有勢力です。

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2014年の韓国フェリー転覆事故に関する様々な不手際などがあったにせよ、基本的には与党セヌリ党が優勢と見られていますが、選挙の公認を巡って、朴槿恵(パククネ)大統領に近い「親朴派」と、次の大統領を狙うキム・ムソン議員が率いる「非朴派」の内部対立が激化しました。

公認されなかった非朴派の一部議員が無所属で立候補するなど、内紛が嫌気され、保守層からの支持率を下げていると伝えられています。

野党の「共に民主党」と「国民の党」は、昨年まで「新政治民主連合」として一緒に行動していましたが、結局は分かれました。

「共に民主党」というヘンテコな名前は韓国でも批判されているようですが、党名決定で混乱したどこかの政党と同じように、元盧武鉉派やら元金大中派やら、こちらも纏まりが悪く、「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)が見切りを付けて飛び出たような経緯です。

安哲秀は元々は医者ですが、コンピューターセキュリティのベンチャー企業として成功したビジネスマンでもあり、若者層からも人気が高い人物と言われています。

選挙の争点として第一に挙げられているは、最近やりたい放題となっている北朝鮮への対応。

基本的に与党「セヌリ党」は強硬路線、野党「共に民主党」は対話路線という選択になります。

二番目は経済対策。

韓国経済は、日本よりも格差が大きく、若者(15~29歳)の失業率が12.5%。
概ね日本の2倍です。

所得上位10%が国民所得に占める割合は、日本が41%、韓国は45%。
従って、若者層の多くは、福祉重視を掲げる野党への支持が強いという傾向があります。

最近の若年層は経済的に困窮し、「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」の7つを諦めざるを得ない「七放世代」という言葉が流行しています。

およそ20年前のアジア通貨危機の際に、韓国はIMFの傘下で財閥の解体と再編、国有企業の民営化等が行われ、サムスンなど国際的競争力を持つ企業が成長した反面、国内は二極化し、財閥系企業に入れるか、さもなくば非正規といった状態になりました。

サムスンは、韓国の主要都市に加えてNYとロサンゼルスでも「サムスン入社選抜試験=グローバル・サムスン・アプティチュード・テスト」を実施しており、その出題傾向は韓国内で大きく報道されます。

困窮する若年層に配慮して、もう少し社会的な分配を重視する政策にすれば良い、という意見は与党内にもあるでしょうが、そもそも国内経済の規模が小さく、海外で稼ぐためには財閥系企業群の弱体化に繋がるような政策は打ち出しにくいという構造があり、富の偏在を解決するのは難しい状況かと思われます。

日本経済が更に弱くなると、今の韓国的な姿になると予想されるので、他人事ではありません。

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