日銀へのペナルティで円高方向
3日間ほど首都圏を離れていて相場を見ていませんでしたが、地方に行くと、テレビ東京の番組が見られない地域が多いという現実を再認識しました。
戻って今、ざっくり眺めてみると、やはり円高進行が気になるというところでしょうか。
ドル円は、上がる時にも5円刻みでしたので、逆回転する今も5円単位で考えてよいと思いますが、昨日一瞬ながらも109円台を付けたことで、これまでの110~115円レンジから抜け出し、新たに105~110円の攻防ゾーンが意識される展開に入ってきたように思います。
そもそも今年のビッグテーマは、円高と米国低金利ですから、依然として想定されたシナリオの中での動きです。
原油相場を見ると、40$オーバーから再度の30$台へ降下。
短期的なリスクオンというイリュージョンが終わり、世界は再び低成長という冷酷な現実に向き合い始めた印象です。
日本にしてみれば、世界低成長に加えての円高。
ゴルフで言えば、コースが難しくなった上にハンディキャップも減らされた二重苦ですが、これまでが比較的楽をしていたが故の揺り戻しであり、「日本株は出遅れ」という最近多用されるフレーズは適切ではありません。
円高の目処について断定的なことは言えませんが、あの2014年10月のバズーカ第二弾の完全否定というストーリーがまだ決着していないことが、円高が止まらない大きな要因の一つだと考えています。
下図は、2014年のドル円です。
2013年春のバズーカ第一弾には、欧州金融危機等によって行き過ぎた円高を是正するという大義があり、多くの人がその意義に敬意を払いました。
その帰結点が、2014年前半に長く続いた103~105円であり、この水準は相場の神様も認めたものと考えられます。
しかしながら夏頃から次の日銀緩和期待が水面下で強まると同時に、米国の利上げ観測という思惑によって円安が進み、9~10月には105~110円ゾーンで推移しました。
ここは、相場の神様が少し眉をひそめていたと思われる価格帯で、105円で十分だろうというファンダメンタル派と、円安を進めたいギャンブル派の攻防があった訳ですが、日銀がギャンブル派を支持するという異例の事態が起こって、110円を突破。
ここから、ドル円相場の本格的なカジノ化が始まり、神様の機嫌を大いに損ないました。
現在は、そのペナルティで逆回転が進んでいるので、年内に105~110円レンジを試すのは、ほぼ不可避だろうと予想しています。
105円になれば、神様の怒りも概ね鎮まるでしょうから、優良な外貨資産への積極的な投資を進めることを検討して良さそうに思います。
ちなみに今朝のモーサテでは、JPモルガンの佐々木融氏が年末103円を予想しており、ロイターにもコラムが掲載されています。『コラム:ドル103円も、均衡相場は円高加速を示唆=佐々木融氏』
今年のドル円が、概ね佐々木氏の予想通りに動いているのは、為替市場がギャンブラーの手を離れてファンダメンタルに回帰しやすい状況になっているのであろうと思われます。
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