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June 26, 2016

Brexitが現実となった日(2)

日経平均の週足です。

N22520160624587

昨日だけで▲1286円(7.92%)と、あまり記憶にない醜い下げ。

簡単な逆張り目処として、「25日移動平均線からの▲10%乖離」がありますが、ザラ場安値14864円は9.3%安ですから、勇気がある人は試す水準だと思います。
奇しくも、2月12日の安値14866円とは、僅か2円違い。

J-REITの週足チャートです。

Reit2016062458

昨年8月、今年2月と同じような長い陰線が出現。
狼狽売りで、1800の節目も200日MAもサポートしませんでしたが、これでJ-REITの平均利回りは3.7%、利回りのレンジは2.7%~5.7%。
-0.2%の長期金利を足し合わせれば、伝統的なリスクプレミアムの4%に達した、との見方も可能です。

個別には、イオンリートが熊本店の損害復旧のために分配金の見通しを控えたため、10%下落。
これに関しては、「一過性のマイナス要因に過ぎず、設備更新は長期的にプラス(SMBC日興証券鳥井氏)」との評価も聞かれました。

そもそも日本株にとって、いずれはドル円=100円の試練は避けられないと覚悟しておくのが当然であり、このタイミングで来てしまったのはやや驚きですが、基本的には想定内。

2014年10月の「バズーカ第二弾」前の水準に戻ったということは、余計な贅肉が取り除かれてダイエットされたということでもあります。

とりわけ小型の内需系銘柄に関しては、イギリスがどこに行こうが、業績は変わらないものも多数あります。

日本の金融資本市場に限定すれば、2008年の金融危機とは全く違う状況と言えますが、欧州の今後については、完全に視界不良となりました。

そもそもEUは自発的に加盟する仕組みなのに、なぜここまで嫌われるようになってしまったのか。

一言で言えば、「拡大しすぎ」。

EUがイギリスを含めて28ヶ国まで拡大したことには明確な哲学がなく、いつの間にか拡大そのものが目的化し、ブリュッセルの官僚と加盟国の労働者との間には大きな溝が発生しました。
「また、あいつらは現場も知らない癖に勝手な規則を作りやがって、もういい加減にしてくれ!」(ex.イギリスの職人)

ギリシャのようにユーロただ乗り国が現れても明確な解決策を打ち出せず、一つ屋根の下で文化と意識の違い、特に北欧と南欧の対立は決定的と言っても良いくらいに顕著となりました。
「なぜ私の税金がギリシャに流れ、そのギリシャでは私よりも高い年金を貰っているのに文句ばかり言っているの?」(ex.リトアニアのお婆さん)

20世紀に2回の戦争の中心となったドイツを封じ込めるための政策を、「欧州は家族」という綺麗なカバーで覆った結果、拡大への疑問は封印され、大量の難民受け入れに関する合意形成を困難にしました。

また、EUから離脱したUKが、スコットランドに対してはUKから離脱するなというのは、説得力ゼロ。

今回の投票結果を地域別に見たものですが、スコットランドの残留意思は62%と明確です。

Ukrefe563

EUの拡大主義は内部の亀裂を深め、ユーロは不完全通貨として評価を落としているものの、EUという一つの屋根が欧州の平和を維持した効果は確かにあると思いますが、労働者の頭の中を占めるのは、もっと身近で切羽詰まった問題です。

ある離脱派のイギリス人ワーカーが、こう言ったそうです。
「ああ、俺たちは沈む。そしてまた浮き上がる。」

EUのリーダー達は、賞味期限切れとなった「欧州一家」の代わりに、何か別の「綺麗な包装紙」を生み出す必要に迫られています。

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