コモディティ相場の確認(原油)
ここに来て、右肩下がりカーブが発生し、昨年夏の970万バレルから、現在は912万バレルへと、58万バレルの減少。
主な減少地域は、シェールの多いノースダコタとテキサスで、この二つの州で減少分の8割を占めています。
効率化を進めたシェールオイルの損益分岐点は40~60$程度と言われており、現在の50$水準ではガンガン先物の売りを入れるので、相場が50$を越えにくいと目されています。
その他の供給調整要因としては、カナダの山林火災による一時的な減少、ナイジェリアでは武装勢力がパイプラインを爆破して日量約80万バレルの減少。
ベネズエラでは原油安と通貨安の悪循環が止まらずに経済が混乱し、海外企業への支払いが遅延。
ハリバートンやシュルンベルジェといった油田サービス企業も同国での事業縮小を発表しており、生産への影響が懸念されています。
一方、イランの生産量は今年になって日量50万バレル以上増えています(↓)が、増減要因を足し合わせると、需給はタイトな方向に向かっているようです。
IEAによる世界の原油供給量と需要量です。
2015年4Qは、需要95.48mb/d<供給97.23mb/dと、日量1.75mb/dのダブツキでしたが、2016年1Qになると、需要95.01に対して供給96.35と、1.34mb/d。
需給改善幅が目覚ましいとは言えないものの、とにもかくにもイラン増産分を吸収し、今後の見通しも含めて、下げすぎた原油先物価格は26$からは2倍近い水準に回復しました。
当面は40$~50$で推移し、その後は上を目指すとの予想が主流のようです。
少し中期的に見ると、サウジアラムコのIPOに絡む様々な思惑が原油相場の上昇要因となる可能性は感じられますが、上場は早くて2017~2018年と言われていますので、今すぐに織り込むと考えるのはどうかという感じです。
なお、直近6月3日のレポートによると、リグ稼働数は前週より9基増えて325基。
いよいよ底打ちかという思惑で、昨日のNY市場では、石油関連サービスのトランスオーシャン(RIG)、エンスコ(ESV)、ベーカーヒューズ(BHI)などが軒並み大幅高となっており、原油高が周辺投資の復活に繋がるのではないかという期待が高まっているようです。
但し、原油高→掘削投資復活→供給増→原油安というメカニズムで価格ブレーキがかかるので、こうした関連銘柄の反発に追随して良いのかどうか、判断が分かれるところかと思われます。
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