コモディティ相場の確認(ビットコイン)
コモディティの3番目(最後)はビットコイン(BTC)です。
日本におけるBTCの扱いは、「モノ」から「通貨」へ向かっている途中であり、準通貨になりそう、くらいのところでしょうか。
今年5月25日に改正資金決済法が成立し、仮想通貨は「電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値」と定義され、取引所による本人確認など一定の規制が導入されることとなりました。
規制されるということは存在を認められたと言うことであり、今後の認知度アップが期待されます。
税法上の取扱としては、現状はモノということで、譲渡益は金やゴルフ会員権と同様に譲渡所得となり、年間50万円の控除が適用されると思われますが、将来的にはFXと同じ雑所得となる可能性があるのかもしれません。
ビットコイン(BTC)の長期チャートです。
(といっても2010年以降)
言うまでもなく、あのフランス豚が渋谷で開設したMt.Goxが相場を荒らしました。
2014年の1000$への急騰は、使い込みがばれそうになったフランス豚が、慌てて不足分を買い漁ったために起こった、というのが定説です。
Mt.Goxの破綻は、ビットコインそのものの信認を大きく傷つけ、相場は1000$→250$と4分の1になりましたが、現在は570$近辺まで回復しています。
特にここ数ヶ月、400~450$で落ち着いていた相場が、5月下旬から急上昇を始めたことは興味深い動きです。
この急騰劇に中国人が絡んでいるのは間違いないところで、最近、HuobiとOKCoinという中国で最大クラスの取引所の登録者が急増し、ビットコインの買い注文が大量に入っているとの報道がなされています。
中国人は人民元の下落に非常に神経質で、資産の分散に熱心です。
この1年の人民元/USDのチャートです。
世界中が大騒ぎした昨年夏のレベルから、更に5%低下した水準。
人民元下落のヘッジとしてBTCが注目されているという見方が、最も受け入れられやすい説明だと思います。
また、今年はBTCに取って二度目の「半減期」。
BTCの発行量は上限2100万枚というルールがあり、上限に向かって徐々に発行ペースが逓減するように、約4年に一度、マイニング報酬が半減する仕組みとなっています。
前回2012年の半減期では、半年間で10ドル台から200ドルへ上昇した実績もあり、今年もまた供給が少なくなることで値が上がりやすいだろうという思惑が相場を持ち上げている可能性は否定できないところです。
なお、仮想通貨におけるビットコインの存在は今のところ首位ではありますが、安泰とは言い切れません。
例えば2位のイーサリウム。(通貨の単位はEther)
4月時点での発行時価総額は約780億円と、BTCの7250億円の約10分の1の規模に過ぎませんが、最近の価格動向(下図)から、ビットコインよりも将来性が高いのではないかとの見方もあるようです。
ちなみに、大手取引所の「coinbase」は、BTCに加えてイーサリウムの取引にも参入すると発表しています。
BTCがブロックチェーン技術を国際的な決済手段として応用・発展させ、あくまで通貨としての機能を充実させているのに対し、イーサリウムは契約を管理・実行する分散型プラットフォームという機能に主眼を置き、通貨以外の分野での広範な利用普及をも視野に入れた設計思想のようです。
従って、BTC寄りに見れば、両者は補完的に共存するのでしょうし、イーサリウム寄りに見れば、イーサリウムがBTCを飲み込んで、この世界を支配してしまうようにイメージされるのでしょう。
いずれにせよ、入門編の「ハッシュ関数」でさえ十分に理解できない私が将来を見通すことなど不可能であり、全損しても泣かない程度のお付き合いとしておきます。
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