今週の日本株(9/23時点)
今週の日経平均は、16519円→16754円と、+235円(+1.4%)でした。
21日に公表された日銀の総括的検証は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と、複雑怪奇なタイトルとなっていますが、マネタリーベースの拡大が必ず物価上昇をもたらすというリフレ派理論から撤退し、マイナス金利の深掘りも見送り、下がりすぎた長期金利を0%にまで戻しますという、ゴメンナサイの3連発。
事実上、従来路線からの撤退宣言と言えるでしょうが、「撤退」を「転進」と言い換える伝統に基づき、「2%に届かせるまで」を「2%を超えるまで」と変更。
緩和強化と詭弁を弄しつつ、出口議論を永遠に先延ばしできるという、正に日銀文学の神髄を駆使した労作となっています。
とりわけ、長期金利のコントロールは、出来る出来ないの議論よりも、やってはいけないチャレンジ。
理由は、日銀のサイトに記載されています。(https://www.boj.or.jp/mopo/outline/expchosetsu.htm/#wkinqa2)
常に「36度5分」しか示さない体温計など、必要とされません。
自己矛盾を抱えた「転進策」は、長期金利の固定化に成功すれば相場のダイナミズムを奪い、失敗すれば更に日銀は笑いものとなる運命を抱えています。
日銀文学に慣れていない海外勢とアルゴリズムは、当初騙されて円安に向かいましたが、すぐに実態に気付き、結局は円高に振れています。
株価の方は、FRBの利上げ先送りで米国株が2日間で1.5%ほど上昇したことに助けられて、元の木阿弥になるのを避けられた恰好です。
日銀が動けば円高、という法則が今回も有効だったということの意味は、為替市場における日銀パワーの希薄化ですが、逆に言うと、強引な円高にも持っていきにくい状態であると思われ、今回も100円割れは実現しませんでした。
日経平均は日銀PKOによって歪んだ割高水準となっていますが、将来の下落が心配されると同時に、嵩上げされている分上がりにくくなっており、純粋な投資チャンスが奪われている事も懸念されます。
「いつ見ても16500円」と、口の悪い外人投資家は揶揄しています。
既に主要企業の実質的な大株主となった日銀は、購入するETFの範囲も拡大せざるを得なくなりました。
日経平均型の買い入れ額が年間約3.1兆円から1.6兆円に減り、TOPIX型が2.3兆円から3.9兆円に増えると試算されています。
日経平均のみならず、TOPIXも同じように停滞していくかもしれません。
投資家が自由に泳げるのが個別の材料株だけという事態になれば、売買代金は徐々に減って市場は衰退していきそうです。
Comments
株価の支えなど、日銀も好き好んでやっているわけではないでしょうから何だか気の毒になりますけどね。
こんなにも全力で価値を毀損させようと頑張っている中央銀行と、にもかかわらずドンドン円高になってしまう強すぎる通貨、どちらもあまり聞いたことがありません。
制度疲労っていうのかわかりませんが、日本中しがらみだらけで何もできなくなっています。
橋下さんが総理になったら株価はハネあがると思います。
Posted by: yamazakidog | September 25, 2016 01:28 PM
物価を上げて国債の実質負担を下げたい。そこで、日銀が円安誘導すれば物価は上がるはず、という実験をしたものの失敗。
引っ込みが付かなくなり、関係のないボタンまで色々押してジタバタしている、というだけのことですね。
Posted by: akazukin | September 25, 2016 02:15 PM