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September 20, 2016

JR九州がIPO

10/25(火)の上場が決まりました。

独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」が保有する1億2000万株が、一気に売り出されます。

想定価格は2450円で、想定時価総額は2940億円。

今期見込みEPSは239円なので、PER10.3倍。
ちなみに先輩の、JR東、西、東海のPERは、それぞれ13倍、11倍、10倍。
時価総額は、東と東海が3兆円台、西は1兆2000億円ですから、東と東海の10分の1程度になります。

配当性向は3割予定なので、期待配当利回りは2.9%と、まずまずの水準。

北海道、四国と合わせて「JR三島会社」は、そもそも上場が危ぶまれる脆弱体質というイメージがありましたが、短期間でそれなりの優良会社になったのでしょうか。

セグメント別の、売上・利益・CFです。

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儲からない本業と言われた鉄道(運輸サービス)の営業利益が、売上減少にも関わらず、前年比300億円以上も改善。

1987年に国鉄が分割民営化される際、経営基盤が脆弱な北海道、四国、九州各社には、それぞれ6822億円、2082億円、3877億円の経営安定基金が設けられました。

これはあくまで政府からの「預かり金」なので、JR九州は負債計上し、それを比較的高い金利で政府が借りてくれて100億円の利息を貰い、それを新幹線の賃借料100億円に充当するという仕組みでした。(整備新幹線は機構が保有し、JRは借りている)

今回の上場準備のために法改正が行われ、この3900億円はJR九州から見て返済免除となり、その資金で将来30年分の新幹線賃借料を一括前納。

これによって、この先の鉄道収益は年間100億円改善され、更には2016年3月期に5215億円という巨額の減損損失を行い、今後の減価償却費を大きく圧縮。
当時の資産総額は約1兆円ですから、半分バッサリ切る大手術でした。

こうして見事、本業の黒字化に成功(?)しました。

鉄道以外では、残りの利益の7割が駅ビル不動産で、その過半はJR博多シティです。

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EBTDAで見ると、鉄道と不動産業が大体同じ規模で、この二つで全体の8割。
現状の稼ぐ力は、鉄道:不動産:その他=4:4:2、といったところのようです。

ちなみに、一昨年上場した西武HDの営業利益が、鉄道:ホテルおよび不動産:その他=4:5:1なので、やはり本業4割です。

西武HDの売上はJR九州の2割増し程度ですが、時価総額は6000億円と、JR九州の2倍。
西武は、土地の含み益が膨大なので、これは参考になりません。

九州には同業の「西鉄」があります。

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売上は同水準。
西鉄も、本業利益は3割で、残りは不動産やホテル・物流事業などです。

国家的支援を受けたJR九州の本業は、営業利益率が13%と西鉄の鉄道部門の8%よりも高く、それが全体の利益額を押し上げて、西鉄の時価総額の1.5倍を目指す、といった構図に見えます。

元々九州は雪の影響が少なく、バス・トラック交通網が発達し、観光客はレンタカー中心。
一番儲けられる福岡都心部は西鉄や地下鉄と競合してJR鉄道事業の採算は厳しく、それがJR九州の事業多角化を後押し。

観光列車を含め、出来ることは何でもやって稼ぐしかないという民間的な「知惠出し」の姿勢が感じられるのは、一定の評価がされるところです。

ただし、なんと言っても既上場JR3社に比べて営業エリアの基盤そのものが弱い上に、低いと思われた地震リスクが意外と高いことも判明。
今回の熊本地震は、直接の影響だけで175億円の減益要因とされています。

なお、親子上場問題や国債依存という本質的な問題点を覆い隠すように上場した日本郵政グループ(現状、2社は公募割れ)と比べると、良くも悪くも透明性は比較的高く、投資判断はしやすいように思われます。

日本郵政が国家的詐欺とするなら、こちらは単なる国家的支援に過ぎない、という印象です。

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