トランプ勝利、その時マーケットは(3)
大統領選の結果は大方の予想を覆したため、投資家は突然にシナリオの修正を迫られ、かなりヒステリックな反応となったのだと思います。
また、11日(金曜日)はベテランズデーのために株式以外はNY休場であり、そのため債券市場は余計に慌てて判断しなければなりませんでした。
来週は少し落ちついて、今後の方向性を考えることになろうかと思いますが、なにせ考えるための材料が不足しているというのが実態かと思います。
そもそもトランプの過激発言は、選挙用にある程度誇張されたものであり、差別主義と言うよりはビジネスライクですし、女性蔑視と言うよりは助平で面食い。
どこの国でも選挙用のキャンペーンがそのまま実行されることなど有り得ず、言葉よりも今後の行動を見て判断すべきかと思います。
その意味では、依然として外交や金融政策は不透明であり、間違いないのは減税と財政支出拡大だ、ということで、この部分が市場で過度にハイライトされてしまったようにも見えます。
「世界は変わった」「今までの常識は通用しない」「もはや金利は天井知らずだ」などという発言は無視します。
むしろトランプは、凡庸で平凡な人々を代弁したのであり、人々が自分の利益のために争い、喧嘩し、どこかで仲直りするという「普通の状態」を体現している人なのかもしれません。
トランプはアメリカをメチャクチャにしたいのでは無く、立派な大統領として名を残し、自分たちをケネディ家やブッシュ家に続く名門としたいのでしょうから、誰からも尊敬される大統領像を目指すと思われます。
すぐに結果の出る財政出動は必須ですが、そもそも小さな政府を標榜する共和党がどこまで許すのか。
おのずと限界があり、財政赤字→金利上昇→ドル高の流れに歯止めがかかるという見方も出てくるはずです。
大きな政府を躊躇しないトランプは共和党内では左寄りであり、トランプは民主共和両方に足をかけたからこそ勝てた、という理解も出来ます。
金融政策に関してトランプは、イエレンの仕事ぶりを最低だと扱き下ろしていましたが、もしもっとテキパキと利上げをしていたら、やはり最低だと言ったでしょう。
チャレンジャーは現状否定から入らなければ、選挙に勝てません。
そもそも、低金利とドル安は不動産業にもアメリカ製造業にも好ましいので、利上げに慎重なイエレンとスタンスは一緒。
イエレンが不人気だし、民主党員だから選挙用に叩いてみただけの話で、よりタカ派に変えるくらいなら、「会ってみたら良い人だった。意見は一致したので続けて貰う」と言い出します。
当面の自分のポートフォリオ対応としては、債券ETFや高配当公益銘柄、ゴールド系の逆張りは長期的な視野で検討したいところで、軍需銘柄や石油関係は保有持続します。
モメンタム銘柄は、もともと保有していませんが、多分買うことはないと思います。
為替についてはドル高のピークアウトを警戒する必要があり、日本の円安恩恵銘柄は無理に追いかけない、ということになろうかと思います。
Comments
今回の洞察 とっても面白かったです。普通の情報は全く役に立たないどころか害な感じです。
頭良いって言ってる人でも基本的原則忘れてか風見鶏しかいないとか。
リート 日本 海外 どんな展開を予想されますか?
Posted by: 驚き | November 13, 2016 09:56 AM
驚きさん、こんにちは。
「普通の情報」というのを大手メディアの発信情報とするなら、今回ほど惨敗したのは初めてでしょうね。
ただ、都知事選でも同じような傾向がありませんでしたか。
単純化してしまえば、普通の人々は真ん中にいるのに、メディアは左に寄りすぎていてマジョリティが見えないということになりますが、イデオロギー論よりは損得勘定と揺り戻しを重視すべし、という感じでしょうか。
減税期待の富裕層も結構トランプに入れてますからね。
今後の相場展開については簡単では無く、思いついた都度、順次こちらで述べたいと思いますので、またお暇な時にお立ち寄りください。笑
Posted by: akazukin | November 13, 2016 10:33 AM