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November 15, 2016

トランプはニクソンの後継者

トランプ自身はレーガン大統領を理想とすると何度か語っていますが、実際にはニクソンを踏襲していくのではないかと見られています。

Nikusonjk42(Donald Trump as Nixon’s Heir:WSJから)

この表でのポジションはニクソンと同じ分類で、よりエリートから遠く、より大きな政府指向です。

ニクソンは、元々激しい反共主義者でした。
「赤狩り」旋風を巻き起こしたマッカーシーとともに、トルーマン政権の高官アルジャー・ヒスについて追求の手を緩めず、ついには偽証罪に追い込んだことで「反共の闘士」として有名となりました。

ニクソンは、1960年大統領選でテレビ映りが悪くてケネディに負けたとされていますが、当時の最新メディアであるテレビをうまく活用していたのは、むしろニクソンです。

1952年、金銭疑惑が発生したニクソンは、テレビの前で全財産リストを公表し、物品の提供を受けたのは娘が「チェッカーズ」と名付けて可愛がっているコッカースパニエルだけと主張。
この「チェッカーズ・スピーチ」によって大衆の同情を買うことに成功し、危機を乗り越えました。

今回の大統領選、SNSを上手く活用したのはトランプ陣営の方で、ヒラリーは最後までメール問題に悩まされました。

国務長官に就任したヒラリーは、セキュリティ万全の長官室でキーボードを使ってメールするように言われましたが、「面倒くさいわ」と拒否したことが最後まで響きました。

トランプは今年7月の共和党指名受諾演説の中で、「法と秩序」という言葉を4回も使いましたが、これはニクソンが好んで使ったスローガン。

1968年大統領選挙では、ベトナム戦争と並んで黒人地区での暴動など国内治安が争点化。
現在も、警察と黒人との信頼関係の低さは大きな問題となっており、ホーム・グロウン・テロも度々起こっています。

また1972年大統領選挙では麻薬使用の広がりが問題となりましたが、ニクソンはこれを、リベラル知識人による過剰な許容文化に原因があると非難しました。

トランプも選挙中、NYTやCNNなどリベラル系メディアと強く対立。
仕返しに、ヘイトサイト、いや保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」のスティーブン・バノンをホワイトハウス入りさせました。

ニクソンは在任中に保守系の最高裁判事4名を任命して最高裁を保守色に塗り替えましたが、トランプもまず欠員1名の任命は確実。
もし高齢判事が死ねば更に保守色が強まり、副大統領マイク・ペンスら福音派が望む中絶の原則禁止が実現するかもしれません。

ニクソンは、前任のケネディやジョンソンのように理想主義的な政策に走らず、現実路線を取ったことで、「サイレント・マジョリティ」に代表されるような幅広い中道保守派層に支持されましたが、これはオバマに飽きて、今回トランプを支持する人たちの意識と重なります。

ポリティカルコレクトネスを押しつけられ、アファーマティブアクション(マイノリティ優先主義)によって逆差別されたと感じるプアホワイトは民主党から離れて行きましたが、共和党内茶会派という極端な主張にもなじめずに二大政党の間を漂っていたところ、トランプがごっそりと浚(さら)っていきました。

1969年に発表された、いわゆるニクソン・ドクトリンには、「国家の防衛は当事国が第一義的責任を負うべきである」とあり、欧州や日韓に相応の防衛責任を要求しました。
今トランプも、同じ事を言っています。

ニクソンとキッシンジャーは、中国に接近し、ベトナム戦争に見切りを付け、「名誉ある撤退」に集中。
経済ではドルの金兌換を取りやめて以後のドル安に道を開き、ドル/円は2年間で、360円から260円になりました。

圧倒的に強いアメリカという理想を諦め、政治・経済・軍事面で、身の丈に合った責任を果たそうと考えたニクソン。

トランプの眼前の戦争相手はISですが、より大きな目標は、ニクソンの後継者として、世界の警察官からの「名誉ある完全撤退」を成し遂げることかもしれません。

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Comments

人格も政策も、史上最悪な大統領の一人、リチャード・ニクソン。

共産主義者の追放という「大義名分」を笠に着たマッカーシー議員を始めとして行われた、偽の「共産主義者リスト」の提出に代表される様な様々な偽証、事実の歪曲、容疑者に対する自白や協力者の告発、密告の強要までを取り入れた強引な手法が世間に晒され、大ヒンシュクを買うことになりましたが、

そのマッカーシーに協力してきた代表的な政治家こそが、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンであり、後にこの2人を熱烈に支持したのが、「新自由主義」の経済学者であるミルトン・フリードマンです。

新自由主義政策(格差拡大)の動きはレーガンが本格的に始める前のニクソンから蠢いており、彼が現在の民主主義を破壊し大格差社会となる下地を作り上げたと言っても過言ではない。

Posted by: 格差は政策によって作られた | November 16, 2016 at 01:51 PM

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