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November 21, 2016

イタリア国民投票が迫る

サプライズの続く選挙(国民投票)ですが、12月4日にはイタリアで国民投票が実施されます。

イタリア政治というと、政党乱立による頻繁な政権交代、強大な権力を持つエロ爺い「ベルルスコーニ」、最近ではEU反対派の新興政党「五つ星運動」に所属する女性ローマ市長誕生などが思い浮かびますが、現在の首相は41歳のマッテオ・レンツィ。

フィレンツェ出身、フィレンツェ大学卒、フィレンツェ市長を経て、2年前に39歳で首相就任。
フィレンツェは個人的に大好きな街ですが、人口は36万人の小都市。

無理やり日本に例えると、奈良市長の橋下徹氏が、あれよあれよという間に首相になった、といった感じでしょうか。

S1reutersmedianet_3レンツィ氏は、フィレンツェ市長時代に市会議員の定員を半分にするなどの行政スリム化を図る一方、教育や福祉予算を増額し、幼稚園の待機児童を90%減らすことに成功。

フィレンツェ中心部への車両乗り入れを禁止し、無線LANスポットを500カ所設置するなどして観光を推進。歴史的な施設を有料で貸し出して、市の歳入を増加させました。

何よりも生活を楽しむイタリア人イメージと違い、twitter中毒の猛烈仕事人間と評価されています。

今回の国民投票の目玉は国会改革で、上院の定員を今の315人から100人に減らして地方の代表者などで構成させ、議決権をほぼ下院に集中させる内容。

現在の上院は下院と同じ権限を持ちますが、別名は「元老院」で、終身議員も存在するなど、審議の長期化や短命政権、「決められない政治」の原因とされてきました。

もし否決された場合、首相は辞任すると言っており、その混乱の中でEU反対派の五つ星運動が支持を伸ばせば、イギリス同様にユーロ圏離脱を問う国民投票の可能性が高まるとも懸念されています。

レンツィ首相が勝利した場合、上院から自由になった首相は、公共セクターの効率化、投資促進などの改革を実行すると思われますが、上院という重しが無くなることは、もしレンツィ改革が失敗すると、一気に五つ星運動が下院を制覇して政権を握ることが容易となる面もあります。

そのため、五つ星運動はこの国民投票に全面的に反対では無く、否決を呼びかける運動を積極的に行っていないと報道されています。

可決されれば、レンツィ改革が試されて、成功すれば長期安定政権、失敗すれば「五つ星」リスク。
否決されれば首相辞任で政局グチャグチャ、混乱の中でやはり「五つ星」リスクが高まる、といった見方もあり、国民投票後の動向が気になるところです。

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