シカゴ筋ポジションの確認(1/31時点)
(1月31日) (1月24日) (増減)
カナダドル 3472 2519 +953
スイスフラン ▲17140 ▲13644 ▲3496
ポンド ▲61772 ▲63172 +1400
円 ▲58331 ▲66840 +8509
ユーロ ▲45713 ▲52348 +6635
NZドル ▲1022 ▲9883 +9781
豪ドル 12056 10294 +1762
増減はほとんどがプラス。
大きく見ればトランプラリーという夢の収束があり、短期的には雇用統計を控えたポジション調整があって、全般に巻き戻し的な動きかと思います。
円とユーロのショートポジションが減少し、全般にドル売りの方向性となりました。
ドルインデックスです。
今週は僅かな下げで、ほぼ11月8日の大統領選挙当時の水準に戻ったと言えそうです。
但し、ドル円に関して言えば、105円→112円と大幅に円安になっているので、緩和が必要な水準とは言えません。
従って、日本の長期金利が0.15%近くまで上昇したことも、ことさら騒ぐ話ではないのですが、金利をコントロール出来ると言ってしまった日銀が自分の面子のために国債を買い支えて0.09%まで下げました。
全くもって愚かな行為であり、日本が過度に円安誘導的な金融政策を採っているという指摘は当たっています。
アメリカの1月雇用統計は、雇用者数が22万7000人増と好調ながら、労働参加率は62.9%(前月は62.7%)と上昇して、失業率は4.8%と前月の4.7%から悪化。
今後とも職探しをする人が増えて失業率の改善を妨げるのではないか、と推測させるような内容でした。
ちなみに1990年以降の労働参加率を見ると、現在は歴史的な低水準と言えそうです。
最も金利への影響が大きいと見られている平均賃金の増加率は前月比0.1%(0.03ドル)にとどまり、前年比でも2.5%と、前月の2.8%から鈍化。
これで3月利上げはなくなったという気の早い報道もあり、資金は株を買いに向かいました。
金利先物市場では、12月の短期金利は1.12%(現状より0.46%高)で取引されており、2回利上げ分の0.5%をやや下回っています。
米長期金利は前日より少し下がって2.46%ですが、ほぼ2.5%近辺にいる、という意味では安定しています。
トランプ政権は、国内製造業による雇用確保を最優先するという立場のようですが、強引な産業保護は国民に高いものを買わせることになり、物価はじわじわ上がっていくものと考えられます。
減税とインフラ投資の組み合わせは財政赤字の拡大になるのでファイナンスが必要、そのためには金利を上げて海外資金にドル債券を買ってもらう、堅調な米経済は一定の金利上昇に耐えられる、というバランスを市場は模索しているようです。
おそらく、今年中に長期金利3%までの上昇なら株式市場のクラッシュも無い、というのが投資家のコンセンサスのように感じられますが、何分にも株価水準は割高なので、なかなか食指は伸びません。
オバマ政権はロシアと協力できずにシリア情勢を混乱させ、中国を甘やかして南シナ海を好き勝手にさせ、結果的に世界秩序を不安定にしてアメリカの安全を脅威に晒した、というのがトランプ政権の基本認識かと思います。
従って新政権の外交は、ロシアとは戦略的に協力して中東情勢を安定させ、中国に対してはこれまでの譲歩を取り戻す、という姿勢を軸に動きそうです。
またオバマケアによって、「保険料も受診時の負担も高くなった。低所得者を重視し、われわれ中間層は見捨てられた」という声に応えることも、政治的には重要です。
トランプ式交渉術には、かなりの粗雑さが感じられるものの、ことさら扇動的に報道しているのはメディアの方だという指摘もあながち否定できず、多様なニュースソースから事実を見極める必要がありそうです。
日米ともに、ネットの勢いに押された既存メディアは質が劣化する傾向にありますし、ニューヨークの世論というのは、全米の平均値からは偏っています。
米国民はトランプだけではなく共和党を勝たせたのですから、8年続いた民主党の路線を変更するのは当然ですが、それでアメリカが強く、安全になるのかどうかは分かりません。
アメリカの分断、という側面ばかりが強調されますが、アメリカの政治システムは権力の抑制に優れており、また国民は南北戦争を始め、幾多の分裂の危機を乗り越える柔軟さを持ち合わせているので、最終的には良い方向に向かうことを期待して見ています。
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