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December 31, 2017

今年(2017年)の相場を振り返る

この数年間、いつ崩れてもおかしくはないと言われ続けている株式相場ですが、期待を裏切って(?)今年も好調を維持。

大きな構図としては、雇用のために金利上昇を抑制する金融政策が資産価格の高騰を容認している、ということになりそうです。

リーマンショック後、10%まで上昇したアメリカの失業率は4.1%にまで低下。
Usunemplo444

FFレートは、年初の0.75%から1.5%まで3回利上げされたものの、比較的穏やかなものであると投資家は評価し、今年の株式市場は軒並み上昇しました。

日経平均+19%、JASDAQ+43%、マザーズ+31%、
DOW+25%、S&P500+19%、NASDAQ+28%、
FTSE+7.6%、DAX+12.5%、
上海総合+6.8%、KOSPI+21.8%。

但し、いわゆるFANGなど特定のIT系銘柄への物色集中も見られ、我々の未来が特定の企業に支配されることを暗示しているのではないかとの懸念も感じられます。

欧州株の上昇幅が物足りない感じがするのは恐らく為替の影響で、ポンドもユーロも対ドルで1割程度上がっているので、ドルベースで見れば他市場と遜色ない結果になりそうです。

本来の株式投資は、今が良いかどうかではなく、半年から1年先が良いかどうかという先行性で判断するものと言われてきましたが、最近は足下の景気動向や企業業績ばかりが議論されているような気もします。

世界的な温泉気分は不動産に現れやすく、米国商業用不動産価格指数(グリーン・ストリート・アドバイザーズ)は、既にリーマンショック前の水準を大きく超えています。

Greenstreetindex1229

・米長期金利

年初は2.47%であり、FRBの利上げに沿った更なる上昇を見込んだ人が多かったと思いますが、2.41%で終了。
Us10y1229

上昇する短期金利と、停滞する長期金利という差が鮮明化し、10年金利と2年金利の差は、年初の1.3%から0.52%まで縮小しました。

これを危険なサインと見る人と、まだ逆転していないから大丈夫と見る人に分かれています。
無論、大多数の投資家は安心しきっているので、平気で銀行株を買っています。

また、ドイツの長期金利(0.4%)に引っ張られたのか、スペイン長期金利が1.5%、ポルトガル長期金利が1.9%とアメリカを下回るといった珍現象も発生し、借り手のリスクは過小評価されていると考えられます。

なぜ米国長期金利が上がらないのかは、主として物価の安定で説明されます。

FRBが注視するPCEデフレーター。
直近11月のデータは、前年同月比1.8%上昇と節目の2%に届いていませんし、世界的な金あまり現象が米国債を買っていることも低金利の原因でしょう。

長期金利が上がらないのは、長期的な経済成長率に悲観的と解釈されますが、低い金利が株価を支えるという金融相場的な「良いところ取り心理」もあり、バフェット指数はITバブル並です。

Buffetg33

他にもケース・シラーPERなど、様々な伝統的な指標が株価の割高感を示していますが、楽観相場は最終局面ほど輝くものですから、より出口に近いところでパーティに参加し続ければ良いと皆が考えているようです。

・為替

通貨と金利に必ず相関性がある訳ではありませんが、現在のドル相場は米国長期金利との類似性が指摘されています。
冴えない長期金利が弱いドルを演出したということです。

ちなみに、ドル円は10年金利ではなく2年金利に連動するという説も、以前は良く語られていました。
要するに、その時その時で為替のファクターは変わるということです。

Frbdollreinde55

上のグラフは年初にも掲示したものですが、ドル実効レートを長期的に見ると下降ステージに入っているという見方が結果的に当たっていました。
この理由は不明ですが、2012年以降のドル高傾向の巻き戻しでしょうか。

来年は減税によるレパトリ効果でのドル高予想もありますが、海外で既にドルに替えていれば期待外れとなります。

ちなみにドル円は、年初の117円から112円60銭台で終了。
レンジの狭い為替相場が、日本の株式を買いやすい環境を作りました。

多くの人が、来年もドル円の安定を予想していますが、為替の見通しなど株式以上に当てになりません。

・コモディティ

今年は終盤になって、資源関連への資金流入が目立ちました。

まずは原油。

Wti12299

シェールオイルによって「構造的安値商品」になったと思われていたWTIが60$の節目を超えたことは象徴的です。

在庫減少や厳冬などが目先の材料とされていますが、中東情勢への懸念やサウジアラムコIPOへの思惑が水面下で蠢いているのかもしれません。

CRB指数(5年)です。
Crbin533
200あたりをブレイクすると、相場になりそうにも見えます。

銅相場。

Cu12299

世界的な好景気による需要増、中国での環境重視政策による供給調整などが材料視されているようです。

農産物を含めた資源全般に言えることですが、金融危機後の長期的な価格低迷によって供給体制の縮小傾向が進み、何らかのきっかけで上がりやすくなっているように思われます。

コモディティ相場の上昇は、それが穏やかなレベルであれば、インフレ基調によって株価上昇を後押しするでしょうが、オイルショック的な急上昇であれば相場全般にネガティブです。

ちなみに、2008年の原油高はバブルの総仕上げでした。
長短スプレッドの縮小や株式相場の高騰で投資機会を失った投資マネーが、バリュエーションに支配されにくいコモディティ相場に寄りかかったのですが、今は似たような状況になりつつあると言えなくもありません。

UnitedStatesOilとDOWです。
Usodow222

原油価格と株価の関係は、基本的にワニの口です。

・J-REIT
今年マイナスパフォーマンスだった、数少ないアセットクラスの一つです。

金融庁が毎月分配投信を批判した結果、多くのJ-REIT投信から資金が引き出されたため、と理解されています。

有力なJ-REIT投信である「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」を見ると、純資産額が昨年末の3779億円から2915億円へと864億円も減少しています。

Jreit122885

チャートを見ると、11月に一応底を打ったように見えますが、そこからのフォローはさほど無かったようです。

現在の平均利回りは4.17%、利回りのレンジは、3.07%~6.52%。
ものすごく魅力的かというと疑問ですが、相場の展開次第では、来年一定の期待は出来るかもしれません。

東証では、J-REITの他に、上場インデックスファンド豪州リート、iシェアーズ米国不動産株ETF-JDR、NEXT NOTES S&P シンガポール リート、によって、日米豪シのREITが取引できますので、その比較です。

Reit44
上から、シンガポール、豪州、米国、日本。

日本固有の悪材料を避けて米国REITにドル建て投資するとすれば、「IYR」が有力な選択肢です。

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年間で8%ほど上昇し、配当利回りは3.9%。

過去に米国REITと金利の関係を調べたことがありますが、金利上昇局面で米国REITが大きく売られるという相関は発見出来ませんでした。
少なくとも米国では、金利が上がる局面では賃料も上がるからだと思われます。

・ビットコイン

驚きの上昇となった1年でした。

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しかしながら、これで暗号通貨の将来は明るくなったのかというと、全く分かりません。

そもそも政府以外が通貨を発行するということ自体、国家反逆罪的な行為ですから、使用禁止となる法整備がされる可能性もあります。

実際、中国では9月にICOが禁止され、取引所は閉鎖されました。(マイニングは継続)

ロシアは、ロシア人が作ったイーサリアムを政治的に利用しようという魂胆があるのか、中国ほど厳しい態度は示さないものの、政府高官によってたびたび「ビットコインはロシア政府がなんら価値の裏付けを認めるものではない」という発言がなされています。

とはいえ無国籍通貨への需要は間違いなく存在しますし、それが現行の通貨制度や中央銀行の金融政策、民間銀行の決済システムに良い緊張感を与えるというポジティブな効果も期待されています。

現在の暗号通貨の価格を支えているのは、こうした漠然とした期待に基づく圧倒的な投機需要です。

個人的には、投資金額の10倍を回収した上で、残りをHOLDしています。

来年は、米国市場でビットコインのETFが認可されるかどうかが最大のポイントかと思います。

直近の先物出来高は、CBOEが4000枚、CMEが1000枚程度と、当初よりは増えてきましたので、ETF認可上、一定の評価はされるような気もします。

技術的な側面では、トランスアクションスピードを劇的に向上させるライトニングネットワークが来年前半には開始される予定ですし、煩わしい小数点表記を改善するために、単位をBits(100サトシ、現在の100万分の1)にしようという提案も出されています。

様々な技術革新と工夫によって、ビットコインがより使いやすくなって存在感が高まれば、更に既存の秩序との軋轢は高まります。

ビットコインを代表とする暗号通貨が、どれだけの市民権を得て、金融決済システムおよび価値保全手段の一翼を担うことになるのかどうか。

そうした将来像を考えるのであれば、「デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語」と、「中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来 (新潮選書)」は必読かと思います。

この1年、またまた膨張した市場の楽観が、来年の世界経済に破滅的な結果をもたらさないことを祈ります。

当ブログに訪問頂き、ありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。

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