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August 12, 2018

今週の相場(8/10時点)

今週のDOWは0.6%安、NASDAQは+0.3%、日経平均は1%安。
ドル円は、111円20銭台→110円80銭台と、40銭前後の円高でした。

大きく動いたのはトルコリラです。

対円では、22円台→17円20銭へと2割以上の大暴落。
対ドルでは、0.2→0.155。
ドルの5分の1だった価値が、6.5分の1になりました。

現在、トルコの公式のインフレ率は15.9%(7月CPI)。
対して政策金利は17.75%(4月までは8%)ですから、中銀が全くの無策という訳ではありません。

しかしながら、独特の経済観を持つエルドアン大統領は着々と独裁へ前進し、財務大臣には娘婿を指名、中銀総裁の任期を短縮し、事実上いつでも交代できる体制を整えたとみなされています。

加えて、2016年のクーデタ未遂に関与したとして拘束した米国人アンドリュー・ブランソン牧師の解放をめぐる交渉が決裂し、トランプ大統領がトルコに対して関税強化に踏み切るとの報道がトルコリラの決壊を招きました。

これに先立ち、トルコがロシアからS400ミサイルの購入を決めたことにもトランプは激怒。

トルコはNATOという対露軍事同盟の一員ですから、ロシアへの接近は裏切り行為ですが、欧州としては、トルコがシリア難民の防波堤となってくれていることから強く文句を言えない弱みがあります。

アメリカとしては、対IS掃討作戦に貢献したクルド族に借りがありますが、トルコ政権から見ればクルド族は国内最大のテロリスト集団の仲間です。

純経済的な観点ではトルコへの貸付が心配です。

ECBはトルコへのイクスポージャーが多い欧州銀行として、スペインのBBVA、伊ウニクレディト、仏BNPパリバの3行を挙げていますが、それぞれの株価は10日、5.2%安、4.7%安、3%安と、懸念売りが進みました。
また同日、ドイツDAX指数は2%安、フランスは1.5%安、英国FTSE1%安と、トルコ接近度が高いほど売られました。

ドルインデックスは、ユーロ安によって96を突破。

Dxy08111

米長期金利は2.92%から2.87%まで低下しました。
金利低下でドル高が進む避難信号です。


トルコリラの脆弱性は今に始まったことではありません。
元々資源に乏しい上、貿易赤字を観光収入と直接投資で埋めきれない構造です。

通貨安とインフレに悩み、2000~2002年頃のインフレ率は40~50%でした。

これを立て直したのが、2002年以降に安定政権を担うエルドアンの公正発展党ですから、本来は「名君」ですが、近年はイスラム回帰と強権体制への邁進ばかりが目立ちます。

エルドアンは、欧米と対話できる人材を排除し、高金利を忌み嫌い、低金利で経済が活性化すると通貨は強くなるというインチキ経済学を繰り返し語ります。

トルコリラの適正値は非常に難しい問題ですが、今年初めにみずほ証券が試算した購買力平価では、控えめに見てもドルの4分の1といった水準なので、今の6.5分の1は割安です。

Tryppp0810000

トルコリラの対ドルレートです。
Tryusd08100

リーマンショック前には、ほぼドルと等価まで買われていたことは驚きです。
10年前の過大評価の反作用が起こっているという歴史のアヤなのかもしれません。

今回のトルコリラ安は、トルコの経済力が大きな変化をしたというよりは、政治体制の硬直化が将来への懸念を増幅させている面が強いので対応策は明快ですが、誰も意見できないバカ殿体制では、簡単なことが最も困難です。

今のところ日米株価への影響は限定的であり、過度に悲観する必要はないと思いますが、経済規模が4分の1のギリシャがあれほど世界を揺さぶったことも事実です。

当時、日本の投資資金が欧州から引き揚げたことで、2012年にユーロ円は94円、ドル円は75円まで円高。
日本の相場はアベノミクスによって回復したのではなく、ECBの「何でもやる」発言で欧州市場が危機を脱したことが要因です。

今回のトルコリラショックはトルコ自身によって解決可能ですが、そこにバカ殿しかいないとすれば、問題は長引きます。

7月は暑すぎたので少しは肝を冷やす必要がある、という投資家心理が背景かもしれません。

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