今週の相場(10/1時点)
今週のDOWは1.4%安、NASDAQは3.2%安、日経平均は4.9%安の287771円。日経平均の3万円は再び遠く、菅総理が退陣表明した9月3日の29128円より下となり、なんちゃって期待相場は終焉です。
米長期金利は1.45%→1.46%と僅かに上昇ですが、一時は1.54%まで大きくジャンプ、ドルインデックスは93.3→94.1と上昇、ドル円は110円70銭→111円ですが、一時は112円もありました。
金曜日にメルクの経口治療薬が有効とのニュースが流れて株が反発したものの、1週間全体では、金利高株安のリスクオフムードでした。
市場の不安を整理しておきます。
まずは長びくインフレ。
FRBが重視するPCE指数(Personal Consumption Expenditure)を見ると、8月が総合で4.3%と31年振りの上昇率、コア指数も3.6%と、非常に高い水準で推移しています。強い需要に加えて、半導体などの材料不足、物流遅延、人手不足などが重なり、パウエル議長もようやく、インフレ圧力が来年まで続く可能性を示唆しました。
インフレ対応のために利上げが早くなるとすれば、株価を殺す可能性は大ですし、長期金利がどこまで上がるのかは誰にもわかりません。
次に、債務上限問題。
イエレン財務長官は、10月18日に国庫が空になってしまうと、強い表現で議会の早期対応を要求しましたが、肝心の民主党は、気候変動対策や教育などを優先する左派とインフラ整備を重視する右派に分裂し、債務上限問題への対応の遅れを生んでいます。債務の極端な膨張を嫌う議員は民主党内にもおり、彼らは共和党議員を巻き込もうとし、左派はそれを嫌います。
18日までに話がまとまるかどうか、状況は予断を許しません。
そして中国の不動産バブル崩壊。
恒大は2回目のドル債の利払いも出来ず、事実上のデフォルト状態。リーマンショック2.0が起こる可能性は低いでしょうが、バブル崩壊2.0は十分にあり得ます。
国家が全体を管理する中国は日本よりも上手く対応するはず、という意見を多く見ますが、仮に最大限上手く対応したとしても、いつかは不動産バブルのツケを払わなければなりません。
中国の巨大市場は長く世界経済の成長エンジンであったため、ここが停滞すれば、じわじわと世界経済にネガティブに効いてくるはずですし、最近では大規模停電が頻発し、中国での生産活動に支障が出ているとも報道されています。いまだに一次エネルギーの半分以上を石炭に頼る中国が、温室効果ガスの削減に取り組むのは容易ではありません。
株価に最も重要な要素は企業業績ですが、そこにも陰りが見られます。
ダウ銘柄のナイキは決算発表後、株価は8%安の水準。フェデックスは同じく12%安、生活用品チェーンのベッド・バス・アンド・ビヨンドは28%安。
また、ここ10日間で7社が利益警告を出しており、多くの企業が仕入れ価格の高騰でマージン低下に苦しんでいます。イギリスでガソリンの奪い合いが話題になっていますが、原油価格(WTI)は75$で高止まりです。
車載用の半導体は依然として不足しているため、中古車価格は再度騰勢を強め、9月のマンハイム指数は、8月の195から201に上昇しています。これまでの最高値は5月の203です。
どうやら米国において、インフレが収まる兆しは見当たらないのです。
金曜日にメルクネタで一定の反発があったにせよ、アフターコロナで景気が回復すればするほど、供給の制約による需給ギャップは目立つことになるので、引き続き10月も要注意月間だと思います。
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