今週の相場(7/29時点)
今週のS&P500は+4.3%、NASDAQは+4.7%、日経平均は0.4%安。
米長期金利は2.75%→2.66%に下がり、ドルインデックスも106.6→105.8と下落、ドル円も136円10銭→と133円20銭へと円高方向。ドルしか買えないと言われた状況が変化し、ドルを株や他通貨にシフトするリスクテイクの動きが目立ってきています。
一つのきっかけはFOMC通過。0.75%利上げは想定どおりで、パウエル議長の「今後の利上げはデータ次第」という言葉を、景気が弱ければ配慮するという意味に受け取り、投資家は株を買う行為に転じていると解説されています。
主要企業の決算に関しては、思ったほど悪くはないが継続。
アマゾンは2QのEPSも次四半期営業利益も予想以下。マイクロソフトは一度引き下げた売上とEPS予想にも届きませんでした。
ネット広告収入は頭打ちとなり、グーグルは売上、EPS共に予想以下。しかし、いずれも株価は上昇しました。
メタも、売上、EPS、ガイダンス、全て予想以下。半導体では、インテルが予想を6割も下回るEPSで失望の決算。さすがに両社は株価下落。
日本では、デンソーとソニーという有力企業が下方修正しています。
米GDPは2期連続のマイナス成長と、数値的にはリセッション入りを示していますが、これが今後の利上げ幅を抑制するなら株にはプラスというのが今の心理かもしれません。
CMEの金利先物市場では、9月FOMCで0.5%利上げ予想が72%、年末金利は3.25~3.5%が最多と、あと年内3回のFOMCで計1%利上げという、比較的穏やかな想定になってきました。
コモディティ市場では、銅が+8%、WTIが+4%と反発していますが、月単位では下落しており、コモディティ高から来るインフレ圧力は低下してくるとの見方が増えてきました。
個別銘柄では、アマゾン+10%、テスラ+9%、マイクロソフトとグーグルが+8%、アップル+5%と、主力に資金が戻り、嫌われ者のメタが6%安も想定どおりでしょう。
半導体はマチマチで、エヌビディアやテキサスインスツルメンツがプラスで、インテルやクアルコムはマイナスですが、SOX指数は+4%ですから、全般には堅調でした。
現在、2年債金利が2.88%で、10年が2.65%ですから、依然として逆イールド。しかしながら、FFレートの上昇にも拘わらず長期金利が3%以下で安定しているということは、長期的にはインフレが心配するほどではないというように解釈され、株は買えるという心理をサポートしているように見えます。
次の9月FOMCまで、2回のCPI発表がありますので、ここで株式投資家が期待するような穏やかな結果が出てくるかどうかが、今後の相場の最大のポイントかと思われます。
大きなトレンドとなっていたドル高円安にも比較的大きな調整が入りました。そもそも8月は円高というアノマリーがあり、それを先取りしたようにも感じられます。
ファンダメンタルとしては、内外金利差縮小やエネルギー価格下落による日本の貿易赤字縮小観測などによって円売りにブレーキがかかりやすい背景があるかと思われますが、将来に向けての円安保険が必要という考え方には一切変わりありません。
保険は不幸への備えですから、結局使わなかったとなれば一番良いのです。
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