今週の相場(8/19時点)
今週のS&P500は1.2%安、NASDAQは2.6%安、日経平均は+1.3%。
日経平均は一時29000円を超え、一見すると好調に見えますが、これは為替の効果であり、ドル建て日経平均は年初来で18%安と、S&P500の11%安に劣後しています。逆に円建てS&P500は年初来で+6%です。
安くなっていく円を時間をかけて増やしても大した資産にはならないだろうということで、勢い日本株は短期トレードの戦場となり、時価総額460億円の「アイスタイル」の1日の売買代金が800億円を超えるといった珍現象も起こっています。
米長期金利は2.84%→2.97%と上昇、ドルインデックスも105.7→108.1と上昇、ドル円も133円50銭→136円80銭とドル買いが進み、ドルインデックスは、先月の年初来高値108.5に迫ってきました。
ドル円との連動性が高いと言われる米2年債金利は、先週の3.25%から今週は3.24%と殆ど動いていないので、長期金利の上昇はインフレ高止まり期間の長期化予想を意味するものと考えられます。
ここ1~2か月、まるでインフレとの闘いが終わったかのように株式市場は楽観していましたが、ようやく一定の反省が入ったように見えます。
債券と株が売られてドル現金に避難するような風景ですが、長期金利3%近辺は株式にとって、まだまだ居心地の良い水準だと思われます。
コモディティ市場では、原油(WTI)が2%安の90$近辺。ウクライナ侵攻直前の半年前は91$でしたから、一時120$に急騰したものの、すっかり元に戻りました。逆に言うと、ここからのWTIは、大きく下がりにくくなったように思われます。
7月CPIでは、ガソリン価格が前月比8%下がってインフレ率低下に大きく貢献しました。全米平均ガソリン価格を見ると、6月中旬に5.1$/ガロンと史上最高値を付け、その1か月後に4.7$と8%下がり、更に1か月後の現時点で4.1$と10%以上下がっていますので、8月CPIでもガソリン価格の下押しがインフレ率改善に好影響をもたらすかもしれません。
また、ウクライナ侵攻直前のガソリンは3.6$水準でしたので、更に10%ほど下がる可能性はありそうです。
個別銘柄でも反省模様が強く、メタが7%安を筆頭にGAFAMが小幅安。
半導体はマイクロンが7%安、エヌビディアとAMDが5%安。好決算のアプライドマテリアルズも5%安で、SOX指数は4%安でした。
典型的なディフェンシブ銘柄と見られているPGやJNJが小幅に買われているのが、今週の投資家心理を象徴しているように見えます。
今週は楽観への反省が入りましたが、これで反省が十分とは思えず、私がFRB議長であれば、ジャクソンホールで更なる反省を促す講演を行いたいところです。
前述のように、ガソリン価格については明るい兆しが感じられるとはいえ、CPIの32%を占めると言われる家賃や人件費中心のサービス価格については予断を許さず、何しろ「データ次第」なのですから、今後のCPIやPCEデフレータを注視するべきと思います。
ドル円に関しては、今週のような金利高=株安局面で積極的にドルが買われている状況ですから、今や円は非安全資産となり、円ショートがリスクオフトレードとなっているようにも見え、長期的にはスーパー円安保険であり、短期的には米株安保険として機能しているように感じられます。
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