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October 30, 2022

今週の相場(10/28時点)

今週のS&P500は+4%、NASDAQは+2.2%、日経平均は+0.8%。ちなみにDOW指数は+5.7%と大きく買われて、50日線を上抜けしてきました。

米長期金利は4.2%→4.01%に低下、ドルインデックスも111.9→110.67に下落、ドル円は147円60銭→147円48銭と僅かながら下落。

先週は長期金利上昇にも関わらずにドル安株高でしたが、今週は金利が下がって素直にドル安株高となっており、2週連続のドル安株高となってトレンドは強まりました。

肝心の企業業績ですが、アルファベット(グーグル)は、売上・EPSともに予想割れの悪決算で、ユーチューブ広告売上は前年割れ。
マイクロソフトはまずまずの決算ながら、クラウド事業が成長率鈍化。
アマゾンは売り上げ見通しが期待以下で、メタは広告低迷の典型的ダメ決算。

広告依存モデルが苦しみ、グローバル企業は海外収益がドル高で目減りし、イケイケのIT企業ほどコストコントロールが出来ていないなどと総括されており、実質的にGAFAM決算は全敗だったとの評価さえ見られます。

9月のPCEコア価格指数が前年比5.1%上昇と、8月の+4.9%上昇から加速していることから考えても、11月のFOMCで0.75%の利上げは確実視されていると思いますが、FedWatchによる12月予想は、+0.75%が43%で+0.5%が48%。

即ち、12月の利上げペースダウン確率は半分程度なのに株式市場は前のめりに織り込みつつあるという冷ややかな評価も出来ますが、確率半分なら十分に乗る価値があるとも言えます。

中国共産党大会は、習近平ヨイショ組の独裁となり、ハンセン指数が8%安、NASDAQの「Golden Dragon China Index」は10%安です。

要するに、次の5年で台湾を統一し、その偉大なる業績によって更に5年やるぞ、という宣言がされたと理解されます。

前から言っていますが、中国は投資不適格国家であり、一切触れるべきではありませんし、その中国の大きな影響下にある日本も準不適格であり、距離を置くべきです。

圧倒的に安い円がいつまでも買われずに来ているのですから、割安日本株も永遠に買われない可能性があります。

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October 23, 2022

今週の相場(10/21時点)

今週のS&P500は+4.7%、NASDAQは+5.2%、日経平均は0.7%安。

米長期金利は4.0→4.2%に上昇しましたが、ドルインデックスは113.3→111.9に下落、ドル円も148円75銭→147円60銭に下落と、マーケットは金利上昇にもかかわらず、ドル安株高でした。

日本時間の金曜夜、FRBの影武者であるWSJのニック・ティミラオス記者が、「(11月FOMCで)FRBは0.75ポイントの利上げを決めているが、一部の当局者はインフレ対策としての大幅な利上げに大きな不安を示している。」とのタイトルの記事を揚げました。

要するに、三段跳びである0.75%利上げは11月が最後になるだろうとのスタンスが示されたので、投資家の気分は株を買うリスクオン方向へと誘導されました。

それに続いて、23時半頃から2回目の大規模円買い介入が行われ、ドル円は152円間近から5円近く押し戻された格好になっています。

FedWatchでは、11月FOMCでは0.75%利上げが95%織り込みですが、12月FOMCでは0.75%利上げが先週の70%から46%に後退し、0.5%利上げが過半数になっています。

コモディティ市場では、WTIがほぼ変わらずですが、銀が+7%、銅が+2%と、先週の不景気トレードに比べれば、ややリスクオンに振れた印象です。

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October 16, 2022

今週の相場(10/14時点)

今週のS&P500は1.6%安、NASDAQは3.1%安、日経平均は0.1%安。ちなみにDOW指数は+1.2%でした。

米長期金利は3.89%→4.0%に上昇。ドルインデックスも112.8→113.3に上昇、ドル円は145円30銭→148円75銭と、介入警戒ゾーンの中を駆け上りました。

円安ペースが少々早い感じがするので、週明けは介入可能性が囃されるかもしれませんが、いずれにせよマーケットの大きな流れを恣意的に変えることは困難です。

先週は強い雇用統計が金利高株安をもたらしましたが、今週のCPIも強い内容でした。

総合は前年比8.2%で、前月の8.3%を僅かに下回ったものの、予想の8.1%よりは上。コアは6.6%と、前月の6.3%と予想の6.5%の両方を上回りました。

コアの前月比は2か月連続で0.6%と、足元でインフレペースが落ちていませんので、年率7%程度のコアインフレ率に対して現行のFFレート3.25%では太刀打ちできないとの認識が強まり、FedWatchでは、11月と12月のFOMCで、またまたまた0.75%利上げが予想最多。年末FFレートは、4.5~4.75%になることが織り込まれています。

米2年債金利は、年末政策金利を先取りするように、先週の4.3%から4.5%まで上昇しています。

コモディティ市場ではWTIが8%下落し、銀も10%下落。こちらは金利上昇による不景気織り込みトレードの様相で、特に資源ドカ食い中国の長期景気低迷観測が語られています。

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October 10, 2022

5分で振り返るポンドの歴史(2022年改訂版)

いち早く産業革命によって工業力を増し、1850年代にインドの植民地支配を確立させたイギリスは大英帝国と呼ばれ、19世紀のポンドは基軸通貨でした。

日露戦争の戦費調達のため、当時日銀副総裁だった高橋是清が二度もロンドンを訪れ、ポンド建て日本国債発行に奔走したことは良く知られています。

イギリスの最大支配権地域は、ざっと下図の通りです。

 

Englandcolony201602

1873年に出版されたジュール・ベルヌの「80日間世界一周」は、ロンドンからスエズ運河(エジプト)を通って、インドのボンベイからカルカッタ、そしてビルマを経て香港、横浜、サンフランシスコ、そしてニューヨークからロンドンに戻るというルートですが、日米以外は全て英領でした。

この広大なる大英帝国も、20世紀前半の二度の世界大戦で弱体化します。

ドイツとの戦争で疲弊した英国民は癒しを求め、日本が敗戦する1945年8月の直前7月の選挙で戦争の英雄チャーチルを退陣に追い込み、「ゆりかごから墓場まで」を合い言葉に福祉政策の充実に舵を切りました。労働者の権利は強く保護され、基幹産業は国有化されます。

働く意欲は失われて産業は非効率となり、60~70年代の英国は、労使紛争の多発と経済不振のため、「ヨーロッパの病人(Sick man of Europe)」と呼ばれました。

ロールスロイスもジャガーもこの時期に国有化され、現在ではロールスロイスの自動車部門は独BMW傘下、ジャガーはインドのタタ・モーターズ傘下です。

何しろ病人の通貨ですから、1970年代前半のポンド/ドルは、2.6→1.6と、4割も安くなりましたが、質素倹約と勤勉をモットーに育った雑貨屋の娘サッチャーは、落ちぶれた帝国の姿に奮起します。

「私が戦わなかった日は1日も無い」と猛烈に働き、79年に政権の座に着くと、「働かざる者食うべからず」を旗印(?)に、自己責任、自助努力に基づいた改革に乗り出します。

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October 09, 2022

今週の相場(10/7時点)

今週のS&P500は+1.5%、NASDAQは+0.7%、日経平均は+4.5%。

米長期金利は3.83%→3.89%に上昇。ドルインデックスも112.2→112.8に小幅上昇、ドル円は144円80銭→145円30銭へと、介入警戒ゾーンまで円安が進みました。

今週は豪中銀の利上げ幅が0.25%と、予想の0.5%よりも小さかったことなどから、株式市場では利上げペースの鈍化期待が強まっていましたが、9月の米雇用統計は、総じて強い内容でした。

雇用者数は26万3000人増と予想の25万人を上回り、失業率は前月の3.7%から3.5%に低下。平均時給は前年比+5.0%と前月の+5.2%から低下したものの、ほぼ予想どおり。

また労働参加率は62.3%と前月の62.4%から予想外に低下し、米国民は徐々に職場に戻っているとの観測はサポートされませんでした。

発表を受けて市場の反応は、金利高→ドル高→株安。

11月FOMCでの利上げ予想は、またまた0.75%の三段跳びが8割以上に上昇。足元の2年金利も4.27%から4.31%に上がっており、為替相場でのドル高をサポートしました。

コモディティ市場では、OPECプラスの減産報道を受けてWTIが+17%の93$。冬を控えてヒーティングオイル(ボイラー用燃料油)は+20%。銀とプラチナが+6%と、資源主導のインフレがまた復活しそうな嫌なムードも漂います。

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October 01, 2022

今週の相場(9/30時点)

今週のS&P500は2.9%安、NASDAQは2.7%安、日経平均は4.5%安。

米国株指数の下げ率は先週より縮小したものの、依然として売り圧力が強く、3Q期末のお化粧買いどころか、低金利時代の厚化粧がどんどん剥がれていくような毎日です。

米長期金利は3.69%→3.83%に上昇。逆にドルインデックスは113→112.2に下落しましたが、ドル円は143円30銭→144円80銭へと円安が進みました。

容易には改善しない投資家心理に、英国の混乱が拍車をかけました。

発足したばかりのトラス政権は先週末、公約を5割上回る7兆円規模の大型減税を発表。とりわけ、減税で成長率を2倍にして国債を返済するのが政府方針と伝わったことは、政権が経済オンチだという不安感を急速に高め、週初の市場でポンド円は155円から148円に急落。

英10年国債は売られて長期金利は3.5%から4.5%に急騰し、英国債で運用する年金基金が破綻の瀬戸際と伝わり、急遽イングランド銀行が国債を買い支えする「量的緩和政策」に時限転換するという、耳を疑うようなドタバタ劇が展開されました。

影響は日本株個別銘柄にも及び、英国ファンドの保有率が高いマツダや川崎汽船が週間で20%近く売られるなど、日本株の下落を後押しするような結果も招いています。

英国政府は減税計画を縮小する修正に追い込まれるだろうとの見方も発生しています。

米長期金利は節目と見られていた3.5%を大きく上回る水準となっていますが、ドル円には介入警戒感があり、145円に飛び込む勇者は今のところ現れていません。

2.8兆円の介入に一定の時間稼ぎ効果があったことは認められますが、そもそも過熱気味だったドル円相場の下値固めを手伝ったに過ぎないとの見解もあり、長期的にはノイズとして忘れられていくのが単独介入の宿命と考えられます。

なお、FRBのブレイナード副議長が30日に、「金利が上昇する中で、国境を越えた波及と跳ね返りがどのような形で金融の脆弱性と影響し合うかを考慮すべきだ」と、やや軌道修正を示唆するような発言もしているので、今後のパウエル議長の発信には要注意かと思われます。

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