今週の相場(10/21時点)
今週のS&P500は+4.7%、NASDAQは+5.2%、日経平均は0.7%安。
米長期金利は4.0→4.2%に上昇しましたが、ドルインデックスは113.3→111.9に下落、ドル円も148円75銭→147円60銭に下落と、マーケットは金利上昇にもかかわらず、ドル安株高でした。
日本時間の金曜夜、FRBの影武者であるWSJのニック・ティミラオス記者が、「(11月FOMCで)FRBは0.75ポイントの利上げを決めているが、一部の当局者はインフレ対策としての大幅な利上げに大きな不安を示している。」とのタイトルの記事を揚げました。
要するに、三段跳びである0.75%利上げは11月が最後になるだろうとのスタンスが示されたので、投資家の気分は株を買うリスクオン方向へと誘導されました。
それに続いて、23時半頃から2回目の大規模円買い介入が行われ、ドル円は152円間近から5円近く押し戻された格好になっています。
FedWatchでは、11月FOMCでは0.75%利上げが95%織り込みですが、12月FOMCでは0.75%利上げが先週の70%から46%に後退し、0.5%利上げが過半数になっています。
コモディティ市場では、WTIがほぼ変わらずですが、銀が+7%、銅が+2%と、先週の不景気トレードに比べれば、ややリスクオンに振れた印象です。
個別銘柄では、全般に買い戻しの勢いが顕著で、アップルが+6%、アマゾンが+12%、テスラが+5%。
資源のエクソンとシェブロンも+7~8%。金融では、バンカメとJPモルガンが+10%。
半導体は、オンセミが+14%、エヌビディアが+11%で、SOX指数は+8%。
先週動意付いたユナイテッド航空は+14%、ボーイングは+6%、アマゾンとの提携関係が報道されたハワイアンエアは+12%。
会員増加のネットフリックスが+26%と、業績次第では巣ごもり銘柄にも買いが戻るようになり、オワコン(?)のARKKでさえ+6%と、ほぼ全面高の様相でした。
DOW指数は3週連続の陽線で200週MAを超え、下値固めが済んだように見えますので、次はNASDAQが続くだろうとの期待が生まれているチャートかと思います。
この局面でFRBが、わざわざハト派的なメッセージを出してきたことや、NY時間に相当規模のドル売り介入が行われたことを考慮すると、FRBが株にGOサインを出したとも受け止められ、投資家心理が、ドル高の使命は一服して素直に株を買った方がイージーに儲かるのではないかとチェンジする契機が提供されました。
とはいえ、依然としてFFレートはまだ上昇が確実ですし、長期金利の4.2%は相当に高い水準ですから、相場の振り子がドル安株高方向へ振れようとしているとはいえ、それがどの程度なのかは来週の注目点です。
なお英国のトラス首相が短命に終わりましたが、その原因は、財源無き財政支出拡大に対するマーケットの反乱であり、具体的にはトリプル安でした。
ポンドが実力相応に安くなるなら、それは歓迎すべきことですし、国債を中央銀行が買い支える事実上の財政ファイナンスで危機が収束するというのも本来おかしな話です。
リーマンショック以降、政府が積極的に債券リスクを抱え込むようになったのは、言い換えれば全ての債務危機が先送りされているということであり、そのリスクの一部がグローバルなインフレ現象として今回顕在化しただけということかもしれません。
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