今週の相場(9/30時点)
今週のS&P500は2.9%安、NASDAQは2.7%安、日経平均は4.5%安。
米国株指数の下げ率は先週より縮小したものの、依然として売り圧力が強く、3Q期末のお化粧買いどころか、低金利時代の厚化粧がどんどん剥がれていくような毎日です。
米長期金利は3.69%→3.83%に上昇。逆にドルインデックスは113→112.2に下落しましたが、ドル円は143円30銭→144円80銭へと円安が進みました。
容易には改善しない投資家心理に、英国の混乱が拍車をかけました。
発足したばかりのトラス政権は先週末、公約を5割上回る7兆円規模の大型減税を発表。とりわけ、減税で成長率を2倍にして国債を返済するのが政府方針と伝わったことは、政権が経済オンチだという不安感を急速に高め、週初の市場でポンド円は155円から148円に急落。
英10年国債は売られて長期金利は3.5%から4.5%に急騰し、英国債で運用する年金基金が破綻の瀬戸際と伝わり、急遽イングランド銀行が国債を買い支えする「量的緩和政策」に時限転換するという、耳を疑うようなドタバタ劇が展開されました。
影響は日本株個別銘柄にも及び、英国ファンドの保有率が高いマツダや川崎汽船が週間で20%近く売られるなど、日本株の下落を後押しするような結果も招いています。
英国政府は減税計画を縮小する修正に追い込まれるだろうとの見方も発生しています。
米長期金利は節目と見られていた3.5%を大きく上回る水準となっていますが、ドル円には介入警戒感があり、145円に飛び込む勇者は今のところ現れていません。
2.8兆円の介入に一定の時間稼ぎ効果があったことは認められますが、そもそも過熱気味だったドル円相場の下値固めを手伝ったに過ぎないとの見解もあり、長期的にはノイズとして忘れられていくのが単独介入の宿命と考えられます。
なお、FRBのブレイナード副議長が30日に、「金利が上昇する中で、国境を越えた波及と跳ね返りがどのような形で金融の脆弱性と影響し合うかを考慮すべきだ」と、やや軌道修正を示唆するような発言もしているので、今後のパウエル議長の発信には要注意かと思われます。
米国個別銘柄はほぼ全面安で、これまで値保ちの良かったアップルが8%安となっているのが、堪え切れなくなった投資家の現状を顕著に示しています。
ダウ銘柄では、決算で在庫の大幅増加が嫌気されたナイキの14%安が目立ちます。グローバル企業にとっては、ドル高も決算上のネガティブ要因です。
また、中古車販売大手のカーマックスが決算をミスし、1日で25%売られたことも話題となりました。
価格と金利の上昇で、住宅と車という高額商品の市況に陰りが生じていることは明らかで、これがインフレ率を押し下げて行けば、悪いニュースが良いニュースになりますが、その兆候はいまだハッキリしません。
FRBがCPIよりも重視するPCE物価指数は、総合・コアとも市場予想を上回り、それぞれ6.2%と4.9%でした。
半導体では、AMD、インテル、クアルコムが7%安。但し、次期四半期見通しが大幅に悪化したマイクロンが「変わらず」と、悪材料の織り込みが相当進んでいることは、数少ない明るい材料かもしれません。
決算が期待に届かなかったカーニバルクルーズは21%も下げ、同種のトラベル銘柄の足を引っ張りました。
コモディティ市場では、金・銀・銅、WTIが揃って1%程度の上昇と、ここでもリセッションの織り込みが相当程度進んだものと思われます。
Fear & Greed Indexは「15」と、1年前の「9」まで、もう一息です。
米国株式市場では、朝高→引け安パターンが増えており、期待が悲観で打ち砕かれるような状態と思われます。
種々の指標から、かなりの程度まで悲観が進んでいることが感じられ、当面の陰の極までもう少しといったステージかと思われます。
10月は大きな株安イベントが起こりやすい時期として引き続き警戒感が維持される一方、相場が半年先の春に向けてムードが転換しやすい月であることも知られていますので、良い方向へ向かうことを祈ります。
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