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December 31, 2022

今年の相場(12/30時点)

今週でキリ良く年末となりましたが、2022年の株式相場は最後まで冴えない展開でした。

S&P500は年間で2割下げ、NASDAQは3分の1の価値を失いました。NASDAQは、これだけ下げてもまだ予想PER22倍で、割安とは言い切れない水準です。

FFレートは1年で0.25%から4.5%にジャンプし、米長期金利は昨年末の1.5%から3.9%となり、ドルインデックスは96から103と、7%上がりました。

ドル円は115円から131円と、およそ14%の上昇(円安)と、ドルインデックスの上昇率の2倍となっており、ドル高と円安の夢の共演(?)と言えそうです。

米長期金利は、10月の4.2%でピークを打った可能性が高いとの前提で、秋以降はドル安株高をメインシナリオとして相場を観察してきましたので、この4Q(10-12月)の結果を確認してみると、ドルインデックスは8%安、S&P500は+7%、ダウ(DJI)は+15%、NASDAQは1%安。参考までに、SOX指数も+10%です。

NASDAQを除けば、10月以降のドル安株高という視線は、さほど間違ってはいませんでした。

では、誰が悪いのか。

現時点で、GAFAMがナスダックの時価総額全体に占める割合は46%あり、これにエヌビディアとテスラを足すと52%と過半数。

この7社の時価総額は、年初来で612兆円ほど減少しており、これはNASDAQ全体の時価総額の減少分の68%と、下げ相場への貢献度抜群で、東京市場が丸ごと1個消えたようなものです。

メタとテスラは3分の1になり、アマゾンは半分になり、グーグルは4割減、アップルとマイクロソフトは4分の1減少。ちなみにビットコインは48000$から16000$台と3分の1で、メタ、テスラと同じ最弱クラスに分類されます。

こうしたビッグテック群では、コロナバブルによる厚化粧がモロに剥げ落ちましたが、今後に向けて更なる悪材料も観測されています。

ネット広告の頭打ち、クラウドサービスの競争激化、チャットGPTによるグーグルの牙城への挑戦、アップルのショバ代30%への暴利批判、テスラにはEV競争激化と中国市場不安、半導体業界では需要と投資の減少などなど。

テスラのチャートを見ると、年末になってセリクラ模様となっており、流石に底打ち気分が窺えるものの、では来年反発するのかというと疑問符が感じられます。

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December 25, 2022

今週の相場(12/23時点)

今週のS&P500は0.2%安、NASDAQは2%安、日経平均は4.7%安。

米長期金利は3.49%→3.75%に上昇、ドルインデックスは104.8→104.3に下落、ドル円は136円70銭→132円80銭と、大きく円高が進みました。

日本の11月消費者物価は前年比3.7%の上昇とインフレが進む中、日銀は10年金利上限を0.25%→0.50%に修正するように追い込まれました。

この結果、10年金利は先週の0.25%から一時0.48%に急騰し、現在は0.37%。実質的な利上げですから、為替は大きく円高方向へと反応し、日本株は大きく売られました。

そもそも日銀の言うところのイールドカーブコントロールとは、10年金利だけカーブをへこませる「イールドカーブの人為的な歪み形成」でしたから、この政策変更は正常化への前進と評価できる一方、世界のATMと言われた円じゃぶじゃぶ製造機の機能低下とも言えるので、世界的に株価にはネガティブな影響をもたらすと考えられます。

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なお、依然としてイールドカーブの歪みは完全に解消したとは言えないので、再度の日銀の軌道修正観測も燻っており、不確定要因がまた一つ増えたとも言えそうです。

また日銀は、10年の凹みを目立たなくするために、その前後の5年債や20年債を買ってカーブ全体を下げようとしているとのニュースもあり、懲りない日銀は世界の問題児です。

コモディティ市場では、天然ガスが22%安とバブル崩壊の様相ですが、WTIは+7%と反発。

欧州での天然ガスの在庫は比較的順調に積み上がっていると報道されていますが、原油に関しては、ロシアがEUの上限価格設定に対抗して減産するのではとの観測が広がっているようです。

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December 18, 2022

今週の相場(12/16時点)

今週のS&P500は2.1%安、NASDAQは2.7%安、日経平均は1.3%安。

米長期金利は3.59%→3.49%に下落、ドルインデックスは104.9→104.8、ドル円は136円50銭→同70銭と、為替はほぼ変わらずでした。

米金利低下でも意外にドルは強く、足元ではドルへの避難需要が感じられるものの、少し先を見通すと、秋までの強過ぎたドル高の反動が懸念されるところです。

13日発表の米CPIは改善(上昇率鈍化)しました。総合は、前月の7.7%→7.1%、コアは前月の6.3%→6.0%。いずれも予想より低く、喜ばしい結果でした。

内訳を見ると、モノ(財)関連は全て下落トレンド。遅効性の強い住居費と下方硬直性の強いサービス(人件費)関連が主な上昇要因ですが、足元の不動産市況やリストラ状況を考慮すれば、時間の問題と考えている人が多そうです。

特にコアCPIは、前月比+0.2%ですから、年率+2.4%と考えれば、足元のインフレ率は既に目標達成に近い水準まで下がってきたとの楽観的な見方さえ漂います。

コモディティ市場では、WTIが週間で+4%ですが、1か月では7%安。現在の75$という水準は、ピークの120$からは大きく下がっており、いまだ下落トレンドの中にあると見られます。

ロシアの主力輸出品であるウラル原油が、EUが定めた上限価格1バレル=60ドルを大幅に下回ってインドへ供給されているとの報道もあります。

翌14日のFOMCでは予想どおりの0.5%利上げで、FFレートは4.25~4.50%となりました。

市場が注目したのは、パウエル議長のホーキッシュな発言で、2023年の利下げの可能性を否定。また、FOMC参加者による来年末の金利見通しが、5.0-5.25%と、予想よりもやや高めとなったことも株にはネガティブとされています。

また、15日発表の米小売り11月売上高が、前月比0.6%減少と予想を下回ったことも売り材料と解説されており、インフレよりもリセッションが気になり始めると、「悪いニュースは良いニュース」ではなく、「悪いニュースは悪いニュース」です。

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December 11, 2022

今週の相場(12/9時点)

今週のS&P500は3.4%安、NASDAQは4%安、日経平均は+0.4%。

米長期金利は3.49%→3.59%に上昇、ドルインデックスも104.5→104.9に上昇、ドル円も134円30銭→136円50銭と上昇と、ドル高株安でした。

先週、12月FOMCでの利上げ幅縮小観測で喜び過ぎた反省模様といった風景でした。

来週のCPIの前哨戦として注目されていたPPIは、前年同月比で前月の8.0%→7.4%に低下。コアも、6.7%→6.2%に低下と、改善傾向ではあったものの、いずれも予想は上回っており、株価にはアゲインストとなりました。

10年債金利と2年債金利の逆イールドは一時0.85%まで拡大(現在は0.76%)し、深いリセッションが到来するのではという懸念も、株式を持ちにくくしています。

コモディティ市場では、WTIが10%安。最終的に現物を引き取らなければならない商品先物市場は、株式市場よりも景気後退による悲観がストレートに反映される傾向があると感じます。

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December 04, 2022

今週の相場(12/2時点)

今週のS&P500は+1.1%、NASDAQは+2.1%、日経平均は1.8%安。日本株は円高がネガティブです。

米長期金利は3.69%→3.49%に低下、ドルインデックスも106.1→104.5に低下、ドル円は139円20銭→134円30銭と、ドル円は大きく円高方向に振れました。8月以降の円安のフローが強かっただけに、反動も大きくなっています。

現在のドル円は200日線近辺にあるため、一定の支持効果はあると思われるものの、依然として円ショートポジションは多めであり、年内に節目の130円まで調整するリスクも小さくはない、というのが概ねのコンセンサスではないかと思われます。

FRBのパウエル議長が水曜の講演で、12月FOMCでの利上げ幅縮小を具体的に示唆しました。これまでの「近いうちに(soon)」から一歩進んだことを歓迎して、相場は株高に進みました。

FedWatchでは、次回FOMCでの利上げ予想は+0.5%が78%を占めており、よほどの事が無い限り、0.75%利上げは4回で打ち止めになりそうです。

そして来年前半も利上げが続き、最終的なFFレートは5.0~5.25%程度となり、来年末においても4.75%近辺の高金利状態が続くという予想が大勢です。

議長の判断を後押しするように金曜の雇用統計は弱いはず、と思っていたら強い内容で、雇用者数は予想の20万人を上回る26万3千人増、平均時給は前月比0.6%増と、今年1月以来の大幅増加となり、前月の+0.5%から加速してしまいました。

それでも本番は13日のCPIということもあり、公表直後の金利高ドル高反応は次第に消えて、株安も小幅で終了。今週を通してみれば、ドル安株高のメインシナリオが維持されました。

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