今週の相場(12/23時点)
今週のS&P500は0.2%安、NASDAQは2%安、日経平均は4.7%安。
米長期金利は3.49%→3.75%に上昇、ドルインデックスは104.8→104.3に下落、ドル円は136円70銭→132円80銭と、大きく円高が進みました。
日本の11月消費者物価は前年比3.7%の上昇とインフレが進む中、日銀は10年金利上限を0.25%→0.50%に修正するように追い込まれました。
この結果、10年金利は先週の0.25%から一時0.48%に急騰し、現在は0.37%。実質的な利上げですから、為替は大きく円高方向へと反応し、日本株は大きく売られました。
そもそも日銀の言うところのイールドカーブコントロールとは、10年金利だけカーブをへこませる「イールドカーブの人為的な歪み形成」でしたから、この政策変更は正常化への前進と評価できる一方、世界のATMと言われた円じゃぶじゃぶ製造機の機能低下とも言えるので、世界的に株価にはネガティブな影響をもたらすと考えられます。
なお、依然としてイールドカーブの歪みは完全に解消したとは言えないので、再度の日銀の軌道修正観測も燻っており、不確定要因がまた一つ増えたとも言えそうです。
また日銀は、10年の凹みを目立たなくするために、その前後の5年債や20年債を買ってカーブ全体を下げようとしているとのニュースもあり、懲りない日銀は世界の問題児です。
コモディティ市場では、天然ガスが22%安とバブル崩壊の様相ですが、WTIは+7%と反発。
欧州での天然ガスの在庫は比較的順調に積み上がっていると報道されていますが、原油に関しては、ロシアがEUの上限価格設定に対抗して減産するのではとの観測が広がっているようです。
個別銘柄では好決算のナイキが+10%と孤軍奮闘し、おかげでDOW指数は今週僅かにプラスでした。
しかしながらテスラの18%安が象徴するように、かつてのキラキラ銘柄からは資金流出が継続していて、ARKKは7%安。
マイクロンの決算が悪く、4%安となって半導体全般の足を引っ張り、エヌビディアが8%安。SOX指数は4%安でしたが、10月安値からは1割ほど上の位置にあり、NASDAQよりはマシなチャートと言えそうです。
PCEコア指数は前月比0.2%の上昇と10月の0.3%から低下し、前年比では+5.0%から+4.7%へ鈍化と、インフレ率抑制に関しては良い傾向が続いていますが、7-9期の米GDPが+2.9%から+3.2%に上方修正されるなど消費堅調の指標もあり、今週は米長期金利の上昇と株安という組み合わせとなっています。
「プット・コール・レシオ」は今週2.03と最高値を付けており、更なる下げに準備しようとする投資家の弱気センチメントを表しています。
これでS&P500は3週連続の下げとなって、ドル安株高のメインシナリオ実現は苦しくなっており、最近の実態は、ドル安株安の様相とも言えます。
株式市場は高金利が続くから株は買えないと言っており、為替市場は高金利でもドルは買いにくいと言っているように見えます。結果としてゴールドが買われるディフェンシブな心理が窺えます。
現在の株価の支えは脆弱であり、更なるドスンが懸念されるところですが、懸念の壁に何とかしがみついているようにも見えるので、自分のリスク許容量の範囲内で、地味な銘柄を辛抱強くグリップしておくべきステージといったところではないかと思っています。
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