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January 30, 2023

投資観点でのアルゼンチン

W杯で優勝したアルゼンチンですが、あれほどサポーターが熱狂するのは、経済がボロボロで、おらがチームのゴラッソ以外に慰めがないからであるようにも見えました。

通貨ペソの弱さは特筆ものなのが、アルゼンチン。1992年から約10年間は1$=1ペソのペッグ制を採用してインフレと戦ってきましたが、2001年のデフォルトをきっかけに通貨価値は一気に3分の1。

通算で9回のデフォルトを繰り返し、この5年間だけでもペソ/ドルは10分の1になっています。

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2022年11月のインフレ率は前年比で+92.4%となり、過去30年間での最高値を更新しました。

過去5年のインフレ率(%)は、34、54、42、48、72。

実質経済成長率(%)は、-3、-2、-10、+10、+4。ですが、ちょっとインフレ率をいじれば変わってくるので、あまり当てになる数字とは思えません。

面積は広く日本の7.5倍。人口約4500万人。
一人当たりGDPは1万600ドルで、マレーシアやカザフスタンと同程度。

ノーベル経済学賞を1971年に受賞したロシア生まれの経済学者サイモン・クズネッツはこんな言葉を残しています。

「世界には4種類の国がある。先進国、途上国、日本、そしてアルゼンチンだ」。

アルゼンチンは世界第8位という広大で肥沃な国土を持ち、欧州からの投資により1850年から全土に鉄道網を張り巡らせ、移民を受け入れて農業生産量は飛躍的に拡大。1929年には世界第5位の経済大国だったと言われていますが、その転落も例外的に早かったということでしょう。

穀物自給率は250%とも300%とも言われ、世界3位。
牛の数は5400万頭と人口を上回り、一人当たり牛肉消費量は54kgで世界第2位。

他にも、大豆生産量世界3位、トウモロコシ生産量世界5位、馬肉輸出量世界1位など、とにかく食い物に関しては軒並み世界の上位であり、通貨が紙クズになっても、何かしら食って生きていける国といったところでしょうか。

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January 28, 2023

今週の相場(1/27時点)

今週のS&P500は+2.5%、NASDAQは+4.3%、日経平均は+3.1%。

米長期金利は3.48%→3.51%、ドルインデックスは102.0→101.9、ドル円は129円50銭→129円80銭と、いずれも小動きでした。米長期金利は、3.5%近辺という評価が定まった感があり、債券為替市場が安定する中、株価は堅調でした。

22日、例のニック・ティミラオスが「次のFOMCでは、今春に利上げを一時停止できるか議論を開始する可能性がある。」との記事を書き、またカナダ中銀が25日、政策金利を0.25%引き上げて4.5%としたものの、利上げを一旦停止する可能性を示唆したこともあり、FRBの利上げが終わりに近づいている可能性が意識され、この機会を逃さずに株価を押し上げたいという意欲が支配的な1週間でした。

また12月の米個人消費支出(PCE)物価指数が前年比4.4%上昇と、前月の4.7%から鈍化したことも、インフレが鎮静化方向に向かっていることを示す朗報。

Fedwatchでは、2月1日FOMCでは0.25%利上げ予想が99%と確定的で、パウエル議長が、今後の利上げペースに関してどういったニュアンスの発言をするかが焦点となりそうです。

コモディティ市場は全般に小動きで、WTIは3%下げ。天然ガスは6%下げてピークから7割減となり、ウクライナ侵攻以前の2021年水準に戻りました。

なお年初来で見ると、ゴールドが+6%、銅が+11%となっており、投資家の関心は、ドル安と中国経済の再開期待に向いているように思われます。

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January 22, 2023

投資観点でのルーマニア

ルーマニアはその名が示すとおり、ローマ帝国ゆかりの土地であり、東欧に位置しながらラテンのノリのある土地柄と言われています。

面積は本州と同じくらいで、人口約2000万人。

独裁化して1989年に処刑されたチャウシェスクに関しては、あまりに多くの悪評が語られていますが、経済面で一つ良い点を探すと、海外からの干渉を避けるため、80年代に極端な緊縮政策を取って対外債務を完済したことで、これによって負担の軽くなったルーマニア経済は冷戦終了後、比較的円滑に成長軌道に乗れたという評価があります。

2007年にEUに加盟し、累計で60億ユーロの助成金と低利融資を受けており、一人当たりの名目GDPは15000$と、この2年間で20%の伸び。アジアだと、マレーシアの3割増し、タイの2倍くらいのレベルになっています。

良く比較される隣国ハンガリーやポーランドの18000$にもう少し。IMFは今年のルーマニアの成長率を3.1%と予想しており、ポーランドやハンガリーを上回っています。

古くから石油が出ることで知られており、1860年代から採掘が始まったモレニ油田は世界で3番目に古い油田と言われています。

風呂好きのローマ人の影響からか温泉開発も盛んで、2017年にはヨーロッパ最大規模の温泉スパ施設「ブカレスト・テルメ」がオープンしました。

有名スポーツ選手としては、体操のコマネチ選手、テニスのシモナ・ハレプ選手などがいます。

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今週の相場(1/20時点)

今週のS&P500は0.7%安、NASDAQは+0.6%、日経平均は+1.7%。

米長期金利は3.50%→3.48%に下落、ドルインデックスは102.2→102.0、ドル円は127円80銭→129円50銭と円安方向。株も為替も小動きで、明確な方向性は掴みにくい展開に見えます。

今週は、日銀会合が世界的に注目されるという極めて珍しいイベントがありましたが、結局日銀はホテル「YCC」からチェックアウトして現実を直視する勇気を出せず、得意の問題先送り。インフレ下で金利を強引に抑え込むという愚策の継続を選択しました。

日銀次第では大きく円高株安という正常化(?)が進む可能性があったので、キャッシュを多めに用意してバーゲンを狙いましたが、無駄でした。日銀が買い支える日本株は、同じ場所を堂々巡りしています。

ドル円は失望によるショートカヴァーで128円から131円に一気に弾んだものの、基本的には材料が出なかったのですから、ポジション整理が終わると反動ですぐに127円まで戻り、そこから少し冷静な円安が進んで129円という推移。

19日公表の2022年貿易速報によると、貿易収支は19兆9713億円の赤字となり、比較可能な1979年以降で最大の赤字。投機的なポジションはいずれ消えるものなので、結局は貿易収支で為替が動くというのが伝統的なメカニズムです。

コモディティ市場では、銅が+1%、WTIが+2%と、依然として中国の経済再開方針への期待が資源価格を支えている様子です。

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January 15, 2023

投資観点でのカザフスタン

旧ソ連のカザフスタンでは、共産党一筋のナザルバエフが1989年から30年も大統領を務めてきましたが、ようやく2019年にトカエフ大統領に交代しました。

当初はナザルバエフの院政だろうと見られていましたが、最近のトカエフはプーチンと一定の距離を置き、ナザルバエフの不逮捕特権を剝奪するなど、権力の掌握を強める態度を見せています。

カザフ人は基本モンゴロイドなので、見た目は日本人そっくりの人が多く、ロシアからカザフに移住した日本人によれば、一見して外国人と分かってしまうロシアよりも安全に生活できるとのことです。

写真は、カザフ出身の十両力士「金峰山 晴樹(きんぼうざん はるき 本名 バルタグル・イェルシン)」さんです。  Kongousann_20230114112901

国土面積は日本の7倍で世界第9位、人口は1900万人。
一人当たりGDPは約1万ドルですから、アルゼンチンやメキシコと同じくらいです。
GDPは平均して年間4%程度の成長をしています。

2014年からトヨタが中央アジアでは初めて現地生産を開始するといった製造業の動きもあるものの、主要産業は石油や天然ガスなどの資源関係。とりわけウランの生産量は世界1位で、世界の半分を占めています。

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今週の相場(1/13時点)

今週のS&P500は+2.7%、NASDAQは+4.8%、日経平均は+0.6%。

米長期金利は3.56%→3.50%に下落、ドルインデックスは103.9→102.2と下方向、ドル円は132円10銭→127円80銭と、大きく円高。全体的にはドル安株高でした。

12日発表の米12月CPIは前年比で+6.5%、コアが+5.7%と全くの予想どおりという珍しい結果で、インフレ鈍化傾向が確認されました。

予想どおりなら相場は動かないはずですが、為替に関しては、12日当日の読売新聞朝刊の報道がインパクト絶大でした。

『日本銀行は17、18日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検する。昨年末の政策修正後も市場金利にゆがみがあるためだ。必要な場合は追加の政策修正を行う。』

これは、10年金利の上限を0.50%から再度引き上げる可能性が大きいと読めるので、国債ショート勢にとっては大援軍。

NYタイムでドル円は、130円台から129円台に突入し、さらには翌13日の東京時間で10年債金利が0.5%を超えたことで「日銀白旗か」の思惑が走って128円台に入り、再度のNYタイムで127円台です。

東海東京証券の佐野一彦氏は「市場は日銀が来週の金融政策決定会合でYCCを撤廃するとの予想の一択になっている」と指摘しています。

そもそも昨年の円安は、日銀が10年金利を固定しているからこそ日米長期金利差が過度に拡大したとも言えるので、いわば「日銀ギブアップしろ」の催促相場だったとも解されそうです。

米株相場のセンチメントは、FRBの利上げ終了を先読みしたリスクオンとなっており、VIX指数が20を割れ、Fear & Greed Indexは42→63と、一気にGREEDゾーン入りしています。

FedWatchでは、2月FOMCでの0.25%利上げ確率が94%と確実視され、FFレートは年内に5.0%に達した後、年末には4.75%が予想最多。0.25%刻みで2回上がって1回下げる、です。

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January 08, 2023

今週の相場(1/6時点)

2023年がスタートしました。本年第一週のS&P500は1.4%高、NASDAQは1%高、日経平均は0.5%安。

米長期金利は3.88%→3.56%と大きめの下落、ドルインデックスは103.5→103.9とやや上昇、ドル円は131円10銭→132円10銭と1円の円安でした。

金曜の米12月雇用統計は、雇用者数が22万3000人増と、11月の25万6000人から減少。失業率は前月の3.6%から3.5%に改善しましたが、賃金の伸びは前月の前年比+4.8%から+4.6%に減少し、前月比でも+0.4%から+0.3%に鈍化。11月の速報値+0.6%は+0.4%に修正されています。

雇用市場自体はタイトながら、賃金上昇率が鈍化しているのは、景気を殺さず、かつインフレ鎮静化にも良い傾向と捉えられ、金曜の主要株式指標は2%以上上がりました。

ゼロヘッジの記事によれば、正社員(フルタイムワーカー)は1000人減少し、パートタイマーが67万9千人増。かつ給与計算上のダブルカウント(二つの職を掛け持ち)が37万人増加と、見かけ以上に実態は良くないということなので、悪いニュースは良いニュースという観点からは株式市場に援軍でした。

なお2年債金利も、4.42%から4.26%に下落し、FedWatchによる2月FOMC予想は、0.25%利上げが76%と多数派です。

コモディティ市場では、天然ガスが16%安、WTIが8%安。欧州の暖冬もあって、エネルギー危機への懸念は後退している様子です。スペインのビーチリゾートは賑わい、スイスのスキー場は雪不足で悲鳴と報道されています。

ゴールドは+2%と、ドル高終了(?)を背景にしてなのか、買いが継続しています。

年明け最初のトレンドは、その1年を決めると言われていますので、今年のメインシナリオは、ドル横ばい株じり高、と想定しておきます。

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