投資観点でのカザフスタン
旧ソ連のカザフスタンでは、共産党一筋のナザルバエフが1989年から30年も大統領を務めてきましたが、ようやく2019年にトカエフ大統領に交代しました。
当初はナザルバエフの院政だろうと見られていましたが、最近のトカエフはプーチンと一定の距離を置き、ナザルバエフの不逮捕特権を剝奪するなど、権力の掌握を強める態度を見せています。
カザフ人は基本モンゴロイドなので、見た目は日本人そっくりの人が多く、ロシアからカザフに移住した日本人によれば、一見して外国人と分かってしまうロシアよりも安全に生活できるとのことです。
写真は、カザフ出身の十両力士「金峰山 晴樹(きんぼうざん はるき 本名 バルタグル・イェルシン)」さんです。
国土面積は日本の7倍で世界第9位、人口は1900万人。
一人当たりGDPは約1万ドルですから、アルゼンチンやメキシコと同じくらいです。
GDPは平均して年間4%程度の成長をしています。
2014年からトヨタが中央アジアでは初めて現地生産を開始するといった製造業の動きもあるものの、主要産業は石油や天然ガスなどの資源関係。とりわけウランの生産量は世界1位で、世界の半分を占めています。
米国市場でADRの形で買えるカザフ企業には、銀行のハリック・セービングズ・バンク・オブ・カザフスタン(HSBK)、原子力公社のカザトムプロム(KAP)などがありますが、最も妙味がありそうなのは金融サービスのカスピ.kz(KSPI)かと思われます。
同社は2020年に英国にも上場しているので、その時の記事を引用します。
『カスピはカザフスタン最大の決済プラットフォームを運営するフィンテック企業で、人口1800万人の同国で700万人以上のユーザーを獲得している。
目論見書によると、カスピの2019年の売上は13億ドルで、5億1500万ドルの純利益を得ていた。同社はパンデミックの中で事業を拡大し、2020年上半期の売上は7億4000万ドルで、純利益は2億8600万ドルに達していた。
英国のフィンテック企業「Revolut」と同様に、カスピは後払いサービスや消費者融資、決済サービスを提供する。2019年に同社はカザフスタンにおける消費者ローン市場で、32%のシェアを獲得し、首位に立ったと述べている。カザフスタン国内で、カスピはVISAやマスターカードからシェアを奪っており、今年6月の集計で同社の国内の決済ボリュームは全体の66%に達していたという。
2011年創業の同社は当初、手形決済とEウォレットソリューションとして始動した後、2014年にトレーダー向けのマーケットプレイスと消費者金融サービスを開始。2017年にはモバイルアプリを追加し、カードや電話番号による個人間送金も可能にした。
ロックダウンの間に、多くの大手フィンテック企業が勢いを失う中、カスピは支持を伸ばし、パンデミックの間に440万人が、カスピのアプリで国家の給付金を受け取った。』
2021年の前年比成長率は、売上が+38%、EPSは+64%。
2022年は9月までで、売上が前年の97%、EPSは92%との進捗なので、同年も2~3割程度の成長は見込めそうです。
実績PERは12倍程度で、これはBRICSやエマージング諸国の平均値と同レベルかと思われます。
ざっくり言ってカザフ経済は資源次第なので、中国景気との相関性は高く、資源価格が高止まりするなら同国経済は堅調で国民は豊かになり、当然金融サービスも伸びるだろうということになりそうです。
楽天証券で調べた限り、カザフの3つのADRは購入できませんが、カスピ(KSPI)はETFの「FM」で約4%を占めるトップピック銘柄でもあります。
カスピ(KSPI)のチャートです。
ETFの「FM」のチャートです。
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