今週の相場(1/6時点)
2023年がスタートしました。本年第一週のS&P500は1.4%高、NASDAQは1%高、日経平均は0.5%安。
米長期金利は3.88%→3.56%と大きめの下落、ドルインデックスは103.5→103.9とやや上昇、ドル円は131円10銭→132円10銭と1円の円安でした。
金曜の米12月雇用統計は、雇用者数が22万3000人増と、11月の25万6000人から減少。失業率は前月の3.6%から3.5%に改善しましたが、賃金の伸びは前月の前年比+4.8%から+4.6%に減少し、前月比でも+0.4%から+0.3%に鈍化。11月の速報値+0.6%は+0.4%に修正されています。
雇用市場自体はタイトながら、賃金上昇率が鈍化しているのは、景気を殺さず、かつインフレ鎮静化にも良い傾向と捉えられ、金曜の主要株式指標は2%以上上がりました。
ゼロヘッジの記事によれば、正社員(フルタイムワーカー)は1000人減少し、パートタイマーが67万9千人増。かつ給与計算上のダブルカウント(二つの職を掛け持ち)が37万人増加と、見かけ以上に実態は良くないということなので、悪いニュースは良いニュースという観点からは株式市場に援軍でした。
なお2年債金利も、4.42%から4.26%に下落し、FedWatchによる2月FOMC予想は、0.25%利上げが76%と多数派です。
コモディティ市場では、天然ガスが16%安、WTIが8%安。欧州の暖冬もあって、エネルギー危機への懸念は後退している様子です。スペインのビーチリゾートは賑わい、スイスのスキー場は雪不足で悲鳴と報道されています。
ゴールドは+2%と、ドル高終了(?)を背景にしてなのか、買いが継続しています。
年明け最初のトレンドは、その1年を決めると言われていますので、今年のメインシナリオは、ドル横ばい株じり高、と想定しておきます。
個別銘柄では、テスラとマイクロソフトが7%安。グーグル、アップル、テスラ、マイクロソフトあたりは全て、NASDAQ100の平均であるPER20倍近辺に収束しようとしている感じがします。
半導体は全般堅調で、マイクロンが+12%、インテル+10%、クアルコム+5%などで、SOX指数は+4%。
中国が、効果の薄い半導体産業への巨額補助金を休止するとの報道があり、これが米国半導体メーカーのシェア拡大につながるとの連想が働いたとの解説もありました。
エアライン系の好調も目立ちました。ボーイングとユナイテッド航空が+12%、デルタ航空+10%。ハワイアンHDは+15%です。
ケミカルのダウが+9%、ベライゾン+7%など、地味ながら高配当が期待できるオールド銘柄の健闘も光りました。キラキラテック銘柄はコスト管理が出来ていないところが目立つため、歴史があって渋く輝く銘柄に陽が当たってくるような相場付きかもしれません。
今週から、米国以外の株式の様子も取り上げていきたいと思います。初回はブラジルです。
昨年10月の大統領選挙で、現職のボルソナロ大統領を僅差で破ったルラ氏が元旦から大統領に就任しました。
ルラ氏は、2003年から2010年まで2期に渡り大統領を務めましたが、その間のボベスパ指数はBRICSブームにも乗って、約3倍に上昇と好調でした。
低所得者向け現金給付プログラム「ボルサ・ファミリア」を推し進め、中間層の拡大に成功したといった評価がされていましたが、退任後に巨大石油会社ペトロブラスからの不正資金などのスキャンダルが暴露され、ルラは贈収賄の罪で580日間投獄されました。
マーケットは、バラ撒き財政を警戒してか、当選後の2か月間で株価は10%以上も下げましたが、足元では少し反発しています。
インフレ率は5~6%と、ブラジルにしてはマイルドであり、通貨レアルの対ドルレートは、0.19~0.20程度で比較的落ち着いています。
ETFのEWZはこんな感じです。
ボルソナロを擁立した右派選挙連合は、大統領選では僅差で敗北したものの、上下院とも議席を増やし、いわゆる「ねじれ議会」状態なので、心配するような無茶な支出は出来ないとの見方もありますし、ルラの過去の大統領時代は、保守的で健全な財政運営だったとの好評価もされています。
資源中心経済ということもあり、ブラジル株のPERは6倍程度と低いものの、筆頭輸出先は中国であり、中国景気および資源価格とは相関性の強い動きをすると思われます。
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