« April 2023 | Main | June 2023 »

May 28, 2023

今週の相場(5/26時点)

今週のS&P500は+0.3%、NASDAQは+2.5%、日経平均は+0.4%。

米長期金利は3.69%→3.80%に上昇、ドルインデックスは103.2→104.2、ドル円は137円90銭→140円60銭と、米金利高でドル高でした。債券から株へ資金が動くリスクオン心理の強まりという評価も可能かと思います。

ドル円は金利選好のドル高とリスクオンの円売りの共演によって、円の下げ幅が増幅される状況になっていると解されます。

FRBは市場の性急な利下げ期待を是正しようと高官によるタカ派発言が続いていますし、金曜発表の4月コアPCE価格指数が前年比+4.7%と、3月の+4.6%から予想外に伸びが拡大したことも金利上昇を後押ししました。

これによって6月FOMCでの利上げ予想は、先週の17%から64%へと大きく増加。また年末のFFレート予想最多ゾーンも、4.5-4.75%から5.0-5.25%へと上方向にシフトして高金利状態の長期化が見込まれるようになり、市場予測がFRBの見解に近づいた格好です。

しかしながら、何といっても今週の主役はエヌビディア。24日引け後の決算発表で、次四半期(5-7月)の売上見込みが110億ドルと、予想の71.5億ドルを大幅に上回ったことから、翌日株価は24%(約23兆円相当)も急騰し、一気に半導体祭り相場を巻き起こしました。

データセンター向け半導体に強いとされるマーベルテクノロジー(MRVL)は、この風に乗って翌日に32%も急騰し、ネットワーク機器のアリスタネットワーク(ANET)も今週+18%と、エヌビディアハリケーンは周辺の暗雲をごっそり吹き飛ばすような強いエネルギーを発しています。

コモディティ市場は全般に小幅な動きで、金・銀・銅はマイナス2%程度で、WTIは+2%。

Continue reading "今週の相場(5/26時点)"

| | Comments (0)

May 21, 2023

今週の相場(5/19時点)

今週のS&P500は+1.6%、NASDAQは+3.0%、日経平均は+4.8%。

米長期金利は3.46%→3.69%と上昇、ドルインデックスは102.7→103.2、ドル円は135円70銭→137円90銭と、米金利高でドル高でした。

米地銀不安や債務上限問題は、完全に解決された訳では無いものの、その懸念は概ね織り込まれ、5月になってからはドルが買い戻されている格好です。

足元では、日経平均の上昇加速が目立ってきました。

主なエンジンは海外勢主導の見直し買いで、5/8~5/12の週の外人買い越し額は5658億円。3月最終週から7週連続の買い越しであり、「先遣隊」は、既に一定の利益を獲得できているはずです。

海外勢は、日本株を買うと同時に出口を見据えて円の先物売りをセットで行うことが多いため、株高と円安の好循環も生まれやすく、思ったよりも日本株上昇が長続きする可能性も少し出てきましたので、今保有している日本株はHOLDの方針として、この熱気の持続性を観察することとします。

なお物色スタンスは相当に偏りがあり、例えば円安恩恵の自動車関連でも、ホンダは元気よく、マツダはさっぱりといったような傾向がみられます。

こうした偏重が是正されて循環物色的な広がりを見せるのかどうかは、今後の市場参加者の広がり如何にかかっており、今のところは賛否両論といったところです。

Continue reading "今週の相場(5/19時点)"

| | Comments (0)

May 14, 2023

今週の相場(5/12時点)

今週のS&P500は0.3%安、NASDAQは+0.4%、日経平均は0.8%高。バフェット効果もあって日経平均もTOPIXも年初来高値ですが、さほどの熱気は感じられず、長期的な日本株強気相場の到来は想定していません。

なお、おまけ程度に保有している日本株の中で、三菱商事だけは最後まで残そうかと思います。

米長期金利は3.43→3.46%と若干上昇、ドルインデックスは101.3→102.7、ドル円は134円80銭→135円70銭。全般に小動きでした。

注目の米4月CPIは、ほぼ予想どおりで、前年比で+4.9%と、前月から0.1%改善。FRBが注目しているとされる住宅以外のコアサービス価格も、+0.1%と前月の+0.4%から改善です。

一部ではCPIの上振れ観測からドル上昇を見込むポジションもあったためか、直後の反応は金利低下ドル安でした。

ただし、金曜の米5月ミシガン大学5-10年期待インフレ率が3.2%と予想の2.9%を超えたため、ドルの買戻しが入って、週間では若干の金利高ドル高といった格好でした。

現在のFedwatchでは、6月FOMCでの金利据え置き予想が85%と優勢です。また、7月FOMCでの利下げ予想が約3割と、依然として年後半の利下げを見込む一定数の投資家が存在しており、FRBとのギャップが感じられます。

市場における地銀不安はなかなか収まりません。弱気派のターゲットになっているパックウエスト銀行(PACW)は、預金が1割流出したとの発表もあって、今週2割安。地銀ETFの「KRE」も5%安でした。

コモディティ市場では、金はほぼ変わらずで、銀が7%安、銅が4%安。銀は利食いが入り、銅はリセッショントレード継続中のように見えます。

Continue reading "今週の相場(5/12時点)"

| | Comments (0)

May 07, 2023

今週の相場(5/5時点)

今週のS&P500は0.8%安、NASDAQは+0.1%、DOWは1.2%安。

米長期金利は3.43%で変わらず、ドルインデックスは101.7→101.3、ドル円は136円30銭→134円80銭。2年金利は4.02%→3.92%と低下し、若干ドル安が進みました。

今週は、ファーストリパブリック銀行の破綻処理で幕開け。

金融当局は、経営不振のファースト・リパブリック・バンクを公的管理下に置き、その資産をJPモルガン・チェース銀行に売却すると発表。米銀の破綻はシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行に続いて、これで今年3行目、自主清算のシルバーゲートを含めると4行目です。

既に大きな業界シェアを持つJPモルガンは、原則的に他行の買収は出来ないルールですが、破綻処理は例外とされ、当局は市場の混乱を避けることを優先して、クジラがさらに大きくなることを承認しました。

こうした処理は概ね予想どおりであり、特段の反応は見られませんでしたが、これでマーケットの地銀不安が収まったようには見えません。

注目のFOMCは、予想どおり0.25%の利上げ。パウエル議長は、これで利上げ打ち止めとなる可能性を示唆したものの、年内に利下げが開始される予想については言質を与えませんでした。

金曜の4月分雇用統計は好結果。雇用者数は25万3000人増と、予想の18万5000人増を上回り、失業率は3.5%から3.4%に低下しました。ただし過去2か月分の雇用者は、合わせて14.9万人分下方修正されていますので、流石の雇用の勢いにも少々陰りが見え始めたとの解説もされています。

なお平均時給は前年同月比では4.4%増加、前月比で0.5%増と、双方とも加速しており、賃金をベースにしたサービス業に関しては、しつこいインフレが想定されそうです。

Continue reading "今週の相場(5/5時点)"

| | Comments (0)

May 01, 2023

投資観点でのオランダ

オランダをオランダ語で言うと、ネーデルラント。
これは低い土地という意味で、現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルクス三国に北フランスを加えた広い範囲を指す地名でした。

ネーデルラントは10世紀以降、北部は神聖ローマ帝国、南部はフランス王国領のフランドル(フランダース)となり、13世紀以降は、土地の不足を補うために干拓が始まりました。

その後は王族の結婚等によって、ネーデルラントの領有権は、ブルゴーニュ公→ハプスブルク家→スペイン王といった変遷を辿り、1519年、若くして神聖ローマ皇帝となったスペイン王カール5世の頃、ドイツでルターが登場して宗教改革が始まり、ネーデルラントにも新たな風が広がっていきます。

1556年、父カール5世を継いだ息子のフェリペ2世は父親以上にカトリック教会に忠実であり、宗教裁判や異端審問の強化を命令すると、元々はカール5世に忠実に仕えていた有力貴族のオラニエ公ウィレム(オレンジ公ウイリアム)を中心にして宗教穏健派が反発。いわゆる80年戦争がはじまります。

オレンジ公は、一時は全ネーデルラントを結束させて講和に至ったものの、1579年にカトリック教徒の多い南部諸州が脱落。北部7州のユトレヒト同盟が結成されて、その総督となります。

当時ポルトガルはスペインに併合されていてオランダ船のポルトガル寄港が禁止されたため、オランダは独自にアジア航路を開拓する決意をし、1602年にオランダ東インド会社を設立します。

オランダは小国ではあったものの、スペインの弾圧を避けて南部から北部、特にアムステルダムに移り住んだ富裕層の資金があり、経済的な基盤が充実していました。華美を避け、勤勉さを尊ぶプロテスタントには、蓄財した者が多かったのです。

オランダ東インド社は、ポルトガルの勢力圏だったインドのゴアなどを避けつつ東進し、インドネシアから台湾、そして日本へとその勢力を伸ばしていきます。

オランダはジャカルタに拠点を築きますが、1641年にはマラッカをポルトガルから武力で奪取して、オランダの全盛期を築いていくことになります。

布教より商売重視というオランダの姿勢は江戸幕府にも歓迎され、長崎での貿易が許可されました。

本国ネーデルラントでは、スペインとの壮絶な戦いが各地で続きましたが、1648年のウェストファリア条約によってオランダの独立は正式に承認され、同時にスイスも独立。スウェーデンやドイツ諸侯の勢力圏も確認され、主権国家体制の確立と共にカトリックとプロテスタントの長く凄惨な戦いに区切りがつきます。

Continue reading "投資観点でのオランダ"

| | Comments (0)

« April 2023 | Main | June 2023 »