今週の相場（5/26時点）

今週のS＆P500は+0.3％、NASDAQは+2.5％、日経平均は+0.4％。

米長期金利は3.69％→3.80％に上昇、ドルインデックスは103.2→104.2、ドル円は137円90銭→140円60銭と、米金利高でドル高でした。債券から株へ資金が動くリスクオン心理の強まりという評価も可能かと思います。

ドル円は金利選好のドル高とリスクオンの円売りの共演によって、円の下げ幅が増幅される状況になっていると解されます。

FRBは市場の性急な利下げ期待を是正しようと高官によるタカ派発言が続いていますし、金曜発表の4月コアPCE価格指数が前年比＋4.7％と、3月の+4.6％から予想外に伸びが拡大したことも金利上昇を後押ししました。

これによって6月FOMCでの利上げ予想は、先週の17％から64％へと大きく増加。また年末のFFレート予想最多ゾーンも、4.5-4.75％から5.0-5.25％へと上方向にシフトして高金利状態の長期化が見込まれるようになり、市場予測がFRBの見解に近づいた格好です。

しかしながら、何といっても今週の主役はエヌビディア。24日引け後の決算発表で、次四半期（5-7月）の売上見込みが110億ドルと、予想の71.5億ドルを大幅に上回ったことから、翌日株価は24％（約23兆円相当）も急騰し、一気に半導体祭り相場を巻き起こしました。

データセンター向け半導体に強いとされるマーベルテクノロジー（MRVL）は、この風に乗って翌日に32％も急騰し、ネットワーク機器のアリスタネットワーク（ANET）も今週+18％と、エヌビディアハリケーンは周辺の暗雲をごっそり吹き飛ばすような強いエネルギーを発しています。

コモディティ市場は全般に小幅な動きで、金・銀・銅はマイナス2％程度で、WTIは+2％。

個別銘柄では、マイクロソフトが+5％、メタとテスラが+7％、そしてエヌビディア+25％、AMDが+20％と、半導体とテック系周辺は明るいものの、その他は下げが目立ちます。

利益率低下のターゲットが9％安、同じくコスメのアルタ・ビューティが14％安、ナイキ6％安、スタバ7％安、旅行のブッキングHDが6％安などなど。

NASDAQのADLINEは右肩下がりであり、依然として特定銘柄の上昇に依存する状態に変わりありません。AIブームは相場の一隅を強力に照らしていますが、その眩しさゆえ、反対方向に大きな影を作っている印象があります。

とにもかくにも、こうした熱量は日本株にも一定の恩恵が及んで、日経平均CFDは金曜終値から600円近く上昇しており、来週の東京市場も堅調なスタートが予想されますが、今週の様子をざっと見た限り、買いの主体は外人と自社株買いであり、物色される銘柄も限定的です。

東京マーケットは、これまで海外勢から完全に無視されていた反動によって、「普通には見ておくべき相場」程度の格上げにはなりそうですから、それなりの上昇はするだろう、といった感じを受けるので、それなりのポジションを置いておけば良いものと判断されます。

私はエヌビディアは持っていないのですが、「SMH（ヴァンエック半導体株ETF）」を保有しており、こちらも過激な上昇振りとなっているので、少し売却する対応となりそうです。

また金利上昇と言っても、債務上限交渉長期化による一時的な債券離れの要因も考えられ、「TLT」や「EDV」などの長期債ETFは殆ど動いていませんから、将来の景気不安を抱える現状で、今の3.8％という長期金利水準は、心理的に目いっぱいの位置なのかもしれません。