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May 01, 2023

投資観点でのオランダ

オランダをオランダ語で言うと、ネーデルラント。
これは低い土地という意味で、現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルクス三国に北フランスを加えた広い範囲を指す地名でした。

ネーデルラントは10世紀以降、北部は神聖ローマ帝国、南部はフランス王国領のフランドル(フランダース)となり、13世紀以降は、土地の不足を補うために干拓が始まりました。

その後は王族の結婚等によって、ネーデルラントの領有権は、ブルゴーニュ公→ハプスブルク家→スペイン王といった変遷を辿り、1519年、若くして神聖ローマ皇帝となったスペイン王カール5世の頃、ドイツでルターが登場して宗教改革が始まり、ネーデルラントにも新たな風が広がっていきます。

1556年、父カール5世を継いだ息子のフェリペ2世は父親以上にカトリック教会に忠実であり、宗教裁判や異端審問の強化を命令すると、元々はカール5世に忠実に仕えていた有力貴族のオラニエ公ウィレム(オレンジ公ウイリアム)を中心にして宗教穏健派が反発。いわゆる80年戦争がはじまります。

オレンジ公は、一時は全ネーデルラントを結束させて講和に至ったものの、1579年にカトリック教徒の多い南部諸州が脱落。北部7州のユトレヒト同盟が結成されて、その総督となります。

当時ポルトガルはスペインに併合されていてオランダ船のポルトガル寄港が禁止されたため、オランダは独自にアジア航路を開拓する決意をし、1602年にオランダ東インド会社を設立します。

オランダは小国ではあったものの、スペインの弾圧を避けて南部から北部、特にアムステルダムに移り住んだ富裕層の資金があり、経済的な基盤が充実していました。華美を避け、勤勉さを尊ぶプロテスタントには、蓄財した者が多かったのです。

オランダ東インド社は、ポルトガルの勢力圏だったインドのゴアなどを避けつつ東進し、インドネシアから台湾、そして日本へとその勢力を伸ばしていきます。

オランダはジャカルタに拠点を築きますが、1641年にはマラッカをポルトガルから武力で奪取して、オランダの全盛期を築いていくことになります。

布教より商売重視というオランダの姿勢は江戸幕府にも歓迎され、長崎での貿易が許可されました。

本国ネーデルラントでは、スペインとの壮絶な戦いが各地で続きましたが、1648年のウェストファリア条約によってオランダの独立は正式に承認され、同時にスイスも独立。スウェーデンやドイツ諸侯の勢力圏も確認され、主権国家体制の確立と共にカトリックとプロテスタントの長く凄惨な戦いに区切りがつきます。

独立戦争に大きな貢献をしたオラニエ公は、現在のオランダ国歌の歌詞にその名を残しており、今もオランダのシンボルカラーはオレンジです。

この黄金時代に活躍したのが、フェルメール、レンブラント、ロイスダール、ヴァン・ダイクなどの画家たちです。

オランダは西方の新大陸にも進出し、1626年頃、マンハッタン島にニューアムステルダムという拠点を設けます。ハドソン川は、当時オランダ東インド会社に雇われた英国人ヘンリー・ハドソンにちなんで名づけられました。

その後、英蘭はその地を巡って争いとなりますが、1674年にオランダが英国へ譲ることとなってニューヨークと改称され、オランダは代わりに南米のスリナムを手に入れます。

17世紀のおよそ100年間に渡って続いたオランダの黄金時代を終わらせたのは、スペインに代わって台頭してきた英仏です。

1700年頃の人口は、オランダが120万人、イギリス600万人、フランス2千万人と推定されており、英仏が軍事力を増強してくると、各地でオランダは敗戦し、衰退していくことになります。

ネーデルラントでは、カトリック教徒が多い南部がベルギーとして1830年に正式に分離。オランダは、第一次世界大戦では中立を守りましたが、第二次世界大戦ではヒトラーによって支配されます。

戦後のオランダは、戦争による荒廃と植民地インドネシアの放棄という痛手から経済を復興させていきます。

オランダの有名企業としては、インドネシアの石油をベースに設立されたロイヤルダッチが英国のシェルと合併したロイヤル・ダッチ・シェル(2021年にシェルと改称)。

電気のフィリップスは、コンパクトカセットの特許を無償公開して、1979年発売の初代ウォークマンに代表されるカセットテープの時代を演出しましたが、現在は家電事業を中国企業に売却し、ヘルスケア製品に特化している印象です。

1863年にアムステルダムで設立されたのが、ビール業界世界二位のハイネケン。
なお、企業買収によってビール世界一になったアンハイザー・ブッシュ・インベブは、ベルギーに本拠を置いていますので、ネーデルラントのビール支配力は強固です。

イギリスの石けん会社「リーバ・ブラザーズ」と、オランダのマーガリン会社「マーガリン・ユニ」が、1930年に経営統合したのが「ユニリーバ」。

そして近年、半導体業界においてEUV(極端紫外線)露光装置を独占するASMLが急速に有名となり、時価総額は顧客であるインテルの約2倍に増加し、トヨタを上回っています。ちなみに1990年には、世界の半導体露光装置の8割を、ニコンとキヤノンの2社で占めていました。

スペインによるカトリック強制を嫌った人々を祖先とするオランダ人は、今も個人の選択を幅広く認める価値観を有し、尊厳死の法制化や大麻使用の一部許容などで世界の先端を走っています。

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