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August 27, 2023

今週の相場(8/25時点)

今週のS&P500は+0.8%、NASDAQは+2.3%、日経平均は+0.6%。米国株は3週間ほど反省期間が続いていたので、今週は小幅高でした。

米長期金利は4.25→4.23%、ドルインデックスは103.4→104.2、ドル円は145円30銭→146円40銭。2年債金利が5.0%→5.08%と上昇しており、金利高ドル高でした。

コモディティ市場では、金と銅が+1%ですが、銀が+7%。金に対してやや割安になっていた銀が買われたようです。WTIは1%安。

注目されていたエヌビディアの2Q決算(5-7月)は、高い期待を更に上回る、ぶっちぎりの内容でした。

EPSは予想の2.08$に対して2.70$。売上は予想の112億ドルに対して135.1億ドルと、前年同期の2倍。3Qの売上見通しは、2Qを更に上回る156.8~163.2億ドルです。倍速成長する会社の株がPER43倍なら、激安(?)かもしれません。

ジャクソンホールでのパウエル議長の発言は、予想どおり特段の新味はありませんでしたが、「米経済が予想ほど冷え込んでいない兆候を監視している」という表現がハイライトされ、FedWatchでの9月FOMCでの利上げ可能性は、1週間前の11%から20%に上昇しています。

また、11月までに1回以上の利上げがあると予想する割合は、同じく36%から56%に上昇しました。

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August 25, 2023

投資観点でのチェコ

9世紀前半、フランク王国に従属していた西スラブ人が独立してモラヴィア王国が設立され、現在のチェコ、スロバキア、ハンガリーをすっぽり包み込むような範囲で繁栄していましたが、その中からチェック人(チェコ)は自立してボヘミア王国を樹立し、神聖ローマ帝国の連邦の一部といった位置付けとなっていました。

1346年、プラハ生まれのカール4世が神聖ローマ皇帝に即位すると、ボヘミア王国は全盛期を迎え、首都プラハには神聖ローマ帝国内で最初の大学となるプラハ大学が設立されました。有名なカレル橋は、カールの現地読みです。

1402年、貧しい家庭の生まれながら勉強熱心だったヤン・フスがプラハ大学学長になると、教会の権威に頼らず聖書に基づく信仰を説いたイングランドのジョン・ウィクリフの影響を受け、教会が発行する贖宥状(免罪符)を批判したため、フスはカトリック教会から破門されます。さらに、分裂していたカトリック教会の統合を図ったコンスタンツ公会議では、フスが「異端」とみなされて火あぶりにされたため、ボヘミアでは大規模な反乱が起きます。

ルターによる「95ヶ条の論題」から100年前、早すぎた宗教改革と言われるヤン・フスの行動は、旧体質のカトリック教会によって踏み潰されました。

その後、ボヘミア王の地位は、リトアニア=ポーランド王国を成立させたポーランド・ヤゲウォ家が継承しますが、16世紀になると一帯はハプスブルク領となり、オーストリア帝国の一部を構成することとなります。

1866年、プロイセンとオーストリアが戦った普墺戦争に敗れたオーストリアは、ハンガリーに一定の自治権を認めて、オーストリア=ハンガリー帝国となりますが、チェック人・スロヴァキア人は、その支配下にとどまっていました。

20世紀の初頭に民族運動が高まると、プラハ大学の哲学教授であったマサリクはその指導者となり、1919年にチェコスロバキア共和国が出来ると、その初代大統領となります。

マサリクは1935年に引退し、盟友のベネシュが大統領となりますが、1938年にオーストリアを併合したヒトラーは、ドイツ人が多いズデーテン地方の割譲をチェコ政府に迫り、戦争を避けたい英仏はこれを承認。1939年にはチェコ全体がヒトラーの支配下となります。

ドイツ敗戦後は東西冷戦下でソ連が支配するワルシャワ条約機構の一部となりますが、1968年に共産党第一書記ドプチェクが「人間の顔をした社会主義」を掲げて、言論・結社の自由、市場経済の導入など大胆な民主化を図る「プラハの春」運動が起こります。しかしながら、ソ連のブレジネフが軍事介入して改革は頓挫しました。

その後ドプチェクは一機械工として不遇な人生を送るものの、ソ連崩壊後にはチェコスロバキア連邦議会議長に就任するなど政治的復権を遂げ、92年に交通事故で亡くなりました。

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August 20, 2023

今週の相場(8/18時点)

今週のS&P500は2.1%安、NASDAQは2.6%安、日経平均は3.1%安。S&P500、NASDAQともに50日線を割り込んで、夏の反省ムードが続いています。

15日発表の日本の4-6月GDPは年率換算で+6%でしたが、個人消費がマイナスで設備投資がゼロ%ですから、国内景気の中身は脆弱です。

米長期金利は4.16→4.25%、ドルインデックスは102.8→103.4、ドル円は144円95銭→145円30銭と145円を突破。先週に続いて、金利高ドル高です。

反省の材料は、金利高、中国景気不安、銀行格下げ懸念、漫然としたリセッション可能性といったところです。

米長期金利の上昇については、国債発行増など需給要因も語られていますが、むしろ今までが少し低すぎたと考える方がシンプルで、要は株も債券も買われ過ぎており、両方に反省気分が広がっているのだろうと思われます。

歴史的に、2年債と10年債の逆イールドは最大1%であり、2年がほぼ5%なのに10年が4%割れの状態は、やや居心地が良くなかったとも言えそうです。

7月の米小売売上高が前月比0.7%増と、予想の0.4%増を上回ったことも、金利の高止まり傾向を助けました。

コモディティ市場では、金・銀・銅が小動きで、WTIが2%安。株式のリスクオフムードによって、原油も一休みです。

Fear & Greed Indexは、1か月前の「83(ExtremeGreed)」から「45(Neutral)」へと大きく下落しましたが、3月の「23」まではまだ距離があります。

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August 13, 2023

今週の相場(8/11時点)

今週のS&P500は0.3%安、NASDAQは1.9%安、日経平均は+0.9%。

長期金利は4.04%→4.16%、ドルインデックスは102.0→102.8、ドル円は141円80銭→144円95銭と限りなく145円に接近。米金利高でドル高でした。

日米の大きな金利差は長期化する可能性が高いとの見込みが主流であり、いずれは節目の150円を試す展開も想定されます。

注目の7月CPIは前年比で+3.2%と、前月の+3.0%から加速し、前月比では+0.2%。コアCPIは、前年比+4.7%と、前月の+4.8%から僅かに減速し、前月比+0.2%。

どちらも前月比+0.2%と、目標の年2%に近づいているものの、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁が、「米金融当局にはインフレ抑制に向けて、まだやるべき仕事が残っている」と発言したこともあり、ほぼ予想どおりではあるが楽観はできないといったムードとなり、米長期金利は4%以上をキープしています。

金曜発表のPPIは、前月比で+0.3%と前月の「変わらず」から加速、前年比では+0.8%と前月+0.2%から加速。コアPPIは、前月比+0.2%と前月の+0.1%から小幅加速し、前年比は+2.7%で前月と同じ。加速したと言っても、その水準は高くはありません。

同日発表のミシガン大学調査によれば、5年後の物価見通しを示す予想インフレ率は2.9%と前月から低下。

10年債と2年債の「逆イールド」は、0.7%台となり、1%を超えていた7月後半に比べると、小さくなっています。これは、好景気の持続観測を反映して上に行きたがる長期金利と、インフレ収束を見込んで下方向への圧力がかかりやすい2年金利による乖離縮小と理解することが出来そうです。

WSJのニック・ティミラオス記者が10日付けで、「7月のインフレ鈍化でFRBが金利一時停止への扉を開く」という記事を書いていることもあり、FedWatchでは、9月FOMCでの金利据え置き予想が90%、年内に1回以上の利上げがあると予想する人は、3分の1程度となっています。

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August 06, 2023

今週の相場(8/4時点)

今週のS&P500は2.3%安、NASDAQは2.8%安、日経平均は1.7%安と揃って調整。

長期金利は3.96%→4.04%、ドルインデックスは101.7→102.0、ドル円は141円20銭→141円80銭と、米金利高でドル高でした。

日銀のYCC修正策は、日本の10年金利を0.5%→0.63%として、自分が作ったイールドカーブの凹みを自ら直しただけですので、むしろ円高材料が一つ消えて、円ショートを勢いづける結果になったように見えました。

1日火曜日に、フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」へと1ランク引き下げました。既に、2011年にS&P社が同様の格下げを実施しており、「どう反応すべきなんだろーねー」という状況でしたが、直後に米国債発行増額のニュースが出たのは如何にも間が悪く、相場はそれなりにネガティブに反応することになりました。

一部の債券ファンドは格下げを理由に債券を売ることになり、久々に長期金利が4%を超えたことは気が緩んでいた投資家の想定外であり、株売りを誘いました。

7月雇用統計は、雇用者数は18万7千人と、予想の20万人以下ですが高水準。失業率は3.5%と、前月の3.6%から改善。賃金は前月比+0.4%、前年比で+4.4%と、前月と同じ。

総じて強めの結果となり、インフレへの警戒感を減じるような安心材料とはなりませんでした。

コモディティ市場では、金銀銅が小幅安だったものの、WTIは+3%。

サウジが日量100万バレルの自主減産を9月まで延長するとの報道があり、WTIがこの1ヶ月で15%も反発しているのも、インフレ退治にはマイナス材料です。

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