今週の相場(8/4時点)
今週のS&P500は2.3%安、NASDAQは2.8%安、日経平均は1.7%安と揃って調整。
長期金利は3.96%→4.04%、ドルインデックスは101.7→102.0、ドル円は141円20銭→141円80銭と、米金利高でドル高でした。
日銀のYCC修正策は、日本の10年金利を0.5%→0.63%として、自分が作ったイールドカーブの凹みを自ら直しただけですので、むしろ円高材料が一つ消えて、円ショートを勢いづける結果になったように見えました。
1日火曜日に、フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」へと1ランク引き下げました。既に、2011年にS&P社が同様の格下げを実施しており、「どう反応すべきなんだろーねー」という状況でしたが、直後に米国債発行増額のニュースが出たのは如何にも間が悪く、相場はそれなりにネガティブに反応することになりました。
一部の債券ファンドは格下げを理由に債券を売ることになり、久々に長期金利が4%を超えたことは気が緩んでいた投資家の想定外であり、株売りを誘いました。
7月雇用統計は、雇用者数は18万7千人と、予想の20万人以下ですが高水準。失業率は3.5%と、前月の3.6%から改善。賃金は前月比+0.4%、前年比で+4.4%と、前月と同じ。
総じて強めの結果となり、インフレへの警戒感を減じるような安心材料とはなりませんでした。
コモディティ市場では、金銀銅が小幅安だったものの、WTIは+3%。
サウジが日量100万バレルの自主減産を9月まで延長するとの報道があり、WTIがこの1ヶ月で15%も反発しているのも、インフレ退治にはマイナス材料です。
個別では、決算の良かったアマゾンの+6%が目立つくらいで、あとは総崩れに近い状況。みんなが持っているアップルの7%安は、相場全体のセンチメントを冷やしました。
利益率が期待以下で、引当金の増加も嫌気されたペイパルは15%安。
半導体関連では、中国依存度が高いクアルコムが低調な売上見通しで6%安、エヌビディアが4%安などで、SOX指数は4%安。
原油高を背景にエクソンは+3%でしたが、シェブロンは変わらず。
米国債格下げ自体は特別に驚くことのないニュースですが、イエレン財務長官やバフェット、ジェイミー・ダイモンなど有力者が揃って格下げに反発し、謙虚さがなかったことも滑稽で、相場には逆にマイナスでした。
フィッチが正しいかどうかは別にして、ゴールドの長期トレンドを見れば、ドルへの評価は明白ですし、リーマンショック後にビットコインが誕生して一定の存在感を見せていることも、同様の文脈で語られるべきことでしょう。
来週のCPIが終われば、24日のジャクソンホールまで大きなイベントは無いはずで、ポジションを減らして夏休みを取りたい人が多かったことも、今週の調整の背景にあるのではないかと感じられます。
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