今週の相場(8/25時点)
今週のS&P500は+0.8%、NASDAQは+2.3%、日経平均は+0.6%。米国株は3週間ほど反省期間が続いていたので、今週は小幅高でした。
米長期金利は4.25→4.23%、ドルインデックスは103.4→104.2、ドル円は145円30銭→146円40銭。2年債金利が5.0%→5.08%と上昇しており、金利高ドル高でした。
コモディティ市場では、金と銅が+1%ですが、銀が+7%。金に対してやや割安になっていた銀が買われたようです。WTIは1%安。
注目されていたエヌビディアの2Q決算(5-7月)は、高い期待を更に上回る、ぶっちぎりの内容でした。
EPSは予想の2.08$に対して2.70$。売上は予想の112億ドルに対して135.1億ドルと、前年同期の2倍。3Qの売上見通しは、2Qを更に上回る156.8~163.2億ドルです。倍速成長する会社の株がPER43倍なら、激安(?)かもしれません。
ジャクソンホールでのパウエル議長の発言は、予想どおり特段の新味はありませんでしたが、「米経済が予想ほど冷え込んでいない兆候を監視している」という表現がハイライトされ、FedWatchでの9月FOMCでの利上げ可能性は、1週間前の11%から20%に上昇しています。
また、11月までに1回以上の利上げがあると予想する割合は、同じく36%から56%に上昇しました。
個別銘柄は、まだら模様。テスラが+10%、エヌビディアが+6%。
小売り系では、今期売上見通しを下方修正したターゲットが7%安、ナイキが6%安、タペストリーが5%安。靴販売のフットロッカーは、業績下方修正で32%安。同社は昨年、商品の65%をナイキから仕入れています。
百貨店のメーシーズとノードストロームが約2割安。メーシーズのCFOは、「売り上げの伸びを貸倒引当金の増加が相殺してしまった」と語っています。
小売り系銘柄の動向からは、今後の米国消費動向への不透明感が感じられます。
半導体では、AMDが3%安など、エヌビディア以外では大きな動きが見当たらず、SOX指数は+1%でした。
大きな構図としては、米経済は思いのほか好調であり、CPIは順調に下がってきていますので、FRBの利上げは残り1回という予想が主流です。
但し、CPI2%という目標はかなりハードルが高く感じられ、特にFRBが重視するコアPCEは前年比+4.1%と依然高水準です。
また長期金利の4%超えが1か月続いて定着しつつあり、2019年頃の「CPI2%、長期金利3%」という極めて穏やかな金融市場が戻ってくるのは難しそうな気がします。
米ミシガン大学による8月の消費者調査では、1年先のインフレ期待率は3.5%で、5-10年先は3.0%ですから、FRBの2%目標達成は今のところ懐疑的に捉えられています。
この好景気と高金利の共存を説明するため、中立金利が切り上がったのではないかという議論が盛んになっていますが、難しいことはともかく、アメリカ経済の足腰が強くなって潜在的な成長力が高まったのか、あるいは期待インフレ率が持続的に高まったのかの二択だとするなら、多くの人の答えはまあ自明だろうという気もします。
為替の世界では、トルコ中銀が7.5%の「大幅」利上げを実施したトルコリラに注目しています。低金利が通貨を強くするというエルドアン理論から完全に脱却したとすれば、大きな巻き戻しとなりそうですし、同時にドル建てトルコ株にも良い影響が出る可能性があります。
トルコは地政学的に極めて重要な位置にあり、また全方位的外交方針によって、ロシアとウクライナ双方の仲介にも尽力しており、この国の金融政策が常識的で安定的な方向にシフトすることは、大いに好ましいことだと考えられます。
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