今週の相場(9/15時点)
今週のS&P500は0.2%安、NASDAQは0.4%安、日経平均は+2.8%。
インフレ下でも金融緩和を続ける異色の中央銀行を持つ日本株には年初来高値銘柄が続出。米国株は金利高で買いにくく、中国株は不動産バブル崩壊で買えない状況のため、日本株は一種の避難所と化してはいるものの、既に日経平均のPER(指数ベース)は20倍を超えており、割安感はほぼ消失したと思われます。なお、原油関連銘柄と電力株が同時に買われていく様子は、ちょっと面白い現象です。
米長期金利は4.26%→4.34%に上昇、ドルインデックスも105.1→105.3、ドル円は147円80銭で変わらずと、大きな方向性としては、米金利高でドル高が継続。
ECBの利上げに打ち止め観測が広がり、ユーロドルは、1.70から1.66に下落しています。
米8月小売り高は前月比0.6%増と、5か月連続のプラスでしたが、前年比では2.5%増ですから、インフレ分を考慮すれば実質はマイナスと考えるべきかもしれません。
米8月CPIは、前年比で+3.7%と2カ月連続で加速でしたが、エネルギーと食品を除くコア指数は前年比+4.3%と、7月の4.7%から鈍化。原油高によって、両者の動きは逆になっています。
原油価格上昇はインフレ再燃で利上げ再開を後押ししますが、ガソリンが高くなれば消費が減速して利下げが必要となるという両面効果があり、どちらの側面が強く現われてくるのかを見極めなければならない複雑な状況です。
コモディティ市場では、金・銀・銅が小幅高で、WTIが+4%。ロシアやサウジの減産継続を背景にWTIは90$を超え、景気と株式市場へのマイナスとなる懸念が広がっています。
FRBは今月のFOMCでの利上げは見送ると思われますが、その後に関して確固たる道筋を示すことは困難だと思います。
個別ではエヌビディアが4%安と息切れ模様で50日線割れし、SOX指数は2.5%安。
大手車メーカーのストで漁夫の利が囁かれるテスラは10%高でしたが、進化の乏しいiPhone15を発表したアップルは2%安。
エアバスA320のエンジン問題が拡大したRTXが9%安、CFOが利益率低下に言及したネットフリックスが10%安、クラウド事業の成長率が鈍化したオラクルが10%安、売上見込みが弱気だったアドビが6%安。
GMなどビッグスリーのストライキも悪材料。CNBCの調べによれば、UAW(組合)に加盟していないテスラの従業員の時給は平均45$、日本含む外資系が55~60$、ビッグ3が63~67$。単純計算でビッグ3の平均年収は既に2000万円近くになっており、この闘争はレガシーコストによってGMが破綻した歴史を思い起こさせます。
S&P500の予想PERは20倍を超えていると推計されており、ほぼリスクなしで5%以上の利益が得られる短期米債投資に比べて株式投資の優位性を主張することが難しくなっています。日本人に取っても、円高へのトレンド転換が見えない現在は、FXでのドル円ロングが割の良い投資手段に見えています。
アームが上場に成功して、長く閉ざされていたIPOの門が開いたことは朗報ですが、AIブームに乗ってPER100倍以上の割高価格で登場したことは、また一つ相場の泡が増えたということでもあります。
週後半に、ドルも金も同時に買われたのは、投資家の不安心理を感じさせる風景でした。
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