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December 31, 2023

今年の相場(2023年)

2023年の相場が終了。S&P500は+24%、NASDAQは+43%、日経平均は+28%でした。

米長期金利は3.88%→3.87%。一時は5%に迫って世界を慌てさせましたが、終わってみれば年初水準に回帰。ドルインデックスは103.5→101.4と下落、ドル円は132円90銭→141円と円安。

この1年、FFレートは4.5%→5.5%と上がりましたが、2年金利は4.43%→4.25%と下げています。米インフレ率(CPI)は、6.5%から3.1%に半減しました。

即ち、長短実勢金利は上がっておらず、ドルは決して強い通貨では無いのに、円が更に弱いということが再確認されました。そしてFRBは「下げ遅れている」といった風景に見えます。

見方を変えると、これだけのFFレートの上昇にも関わらず、米景気が持ちこたえたことが想定外であり、来年はいよいよ高金利による副作用が顕在化して景気は弱くなり、FRBは複数回の利下げに追い込まれるというのが、メインシナリオかと思われます。

CMEのFedWatchによると、1年後のFFレートは3.75~4.0%が予想最多。8回のFOMCで6回の0.25%幅の利下げが実施されるというハト派予想となっています。

日本株は3割上昇と言えば聞こえは良いのですが、上半期が+27%、下半期は+1%という、歪な結果が気になります。また、ドル建て日経平均は+19%であり、上昇分の3分の1は円安効果と理解されます。

この円安は、利上げできない日本の借金体質がインフレ下で顕在化した、と表現できます。我が国の財政規律の緩みは恥ずかしいほど酷く、危機感が無いままに新たな財政支出が決まっていきますから、市場のどこかにペナルティが発生するのは当然過ぎます。

アメリカのように、頻繁に国家の債務上限が議論されないのは、赤字国債を発行できる特例法が繰り返し制定され、現在は2025年度まで延長されているためで、いわば見たくないものを先送りすることが国民的合意になっているからです。

なお、S&P500とNASDAQを2年間(2021年末との比較)で見ると、それぞれ0%、4%安。  

この数字を見る限りは、2023年末は2022年の下げを取り戻してリスタート位置にあると言えそうですが、個人的な感覚としては、来年の利下げを先取りして成し遂げた反発にも思えるので、行き過ぎた楽観には注意したいところです。

コモディティ市場では、金(ゴールド)が+13%と、主要商品の中で最も上昇したアセットとなりました。どの通貨にも強い信頼感が存在しない上に、どの国も財政規律が緩んでおり、引き続きゴールドは有望と考えます。

逆にWTIは11%安と、大きく下落しました。ロシアの石油を買うのは中国とインドで9割。特にインドは割安価格で購入して、加工した石油製品をEUに「定価販売」しているとされています。

イスラエルとハマスの戦争が、レバノンやイランとの紛争に拡大する可能性はありますが、かつてのように、中東産油国がパレスチナのために団結して石油を武器に戦うといった姿は、今のところ見られません。

またOPECプラスの結束力は弱まっており、2019年のカタール、20年のエクアドルに続いて、今年はアンゴラがOPEC脱退を決めました。

世界のリーダーたるべき米国大統領は、ウクライナとイスラエルに対する武器商人に成り下がってしまい、戦争を止める力がありません。

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December 24, 2023

今週の相場(12/22時点)

今週のS&P500は+0.8%、NASDAQは+1.2%、日経平均は+0.6%。

米長期金利は3.92%→3.90%、ドルインデックスは102.6→101.7、ドル円は142円20銭近辺で変わらず。基本的に、ドル安の流れが継続です。

19日の日銀会合は大方の予想通り、特に何もなし。このニュースを受けてドル円は145円近くまで上昇したものの、そこから2円以上下落。ドル安の大きな流れの中で、チャレンジング騒動はただのノイズでした。

米11月中古住宅販売戸数は前月比0.8%増の382万戸(年換算)と市場予想に反して増加。増加は6カ月ぶりで、住宅ローン金利の低下を背景に一段の増加が見込まれるとの見方が増えています。

一時8%に届きそうだった30年住宅ローン金利は、6.8%まで下がってきました。

7-9月の米GDPは下方修正され、年率換算で4.9%増と、改定値の5.2%増から下方改定。個人消費の伸びは主に海外旅行での支出引き下げを受け、3.6%から3.1%に下方修正されていますが、高水準であることに変わりはありません。

金曜日発表のPCE指数は前年比+2.6%と、前月の+2.9%から鈍化。コアPCEも、前年比+3.2%と、前月の+3.4%から伸び率縮小。いずれも予想を下回り、PCEは前月比で0.1%低下と、前月の横ばいから更に改善しました。

コアPCEの前月比は+0.1%と前月と同じですが、この半年間のPCEコアデフレータの伸びは年率1.9%ペースで、FRBの目標を達成しています。

この結果を受け、インフレとの戦いはほぼ終了し、次に来るのは利下げだと確信する意見が主流となっています。

コモディティ市場では、金・銀・銅が堅調で、WTIは3%高。

イエメンの親イラン・フーシ派が紅海での船舶攻撃を繰り返していることを受け、スエズ運河の利用を回避する船舶も出てきており、原油の供給混乱への警戒感から、WTIは2週連続の反発となっています。

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December 17, 2023

今週の相場(12/15時点)

今週のS&P500は+2.5%、NASDAQは+2.8%、日経平均は+2.1%と、株式は好調。

米長期金利は4.23%→3.92%と節目の4%割れ、ドルインデックスは104.0→102.6と8月の水準まで低下、ドル円は144円97銭→142円20銭と、ドルインデックス以上の比率で下がっており、ドル安と円高の共鳴です。

今週は、CPI、PPI、FOMC、そして小売り統計という順でイベントが進みました。

12日発表のCPIは、前年比+3.1%と市場予想通りで、前月の3.2%から鈍化。

コアCPIは、下げ要因のガソリン価格が除かれているため、前年比+4.0%で前月と変わらずですが、これも市場予想通りでした。

翌日のPPIは、前年比+0.9%と、前月の+1.2%から鈍化。また前月比では横ばいで、予想の+0.1%よりも良好。

PPIはCPIの先行指数と考えられるので、今後もインフレ圧力が沈静化の方向に向かうだろうということが示されました。

FOMCは予想通りの金利据え置きでしたが、今後の見通しに関しては、かなりのハト派に転換。

いわゆるドットチャートによると、来年は0.75%の利下げ。9月よりも0.50%軟化しました。

パウエル議長は「利下げは視野に入り始めており、今回のFOMC会合でも議論した」と述べ、12月の利上げさえ仄めかしていた前回から急にソフトトーン。

いつも通り、タカ派牽制発言に身構えていたマーケットは逆サプライズの格好となり、ドル安株高が走り出しました。

14日の11月小売売上高は、前月比0.3%増の7057億ドル(約100兆円)と2カ月ぶりに増加して市場予想の0.1%減を上回り、景気のソフトランディングの可能性が高まったと好意的に解釈されて、リスクオンの姿勢が続いています。

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December 10, 2023

今週の相場(12/8時点)

今週のS&P500は+0.2%で年初来高値、NASDAQは+0.7%、日経平均は円高の影響で3.4%安。

米長期金利は4.20%→4.23%、ドルインデックスは103.2→104.0、ドル円は146円85銭→144円97銭と、金利が小動きの中で円高が目立ちました。

日銀幹部の発言により、今月19日の日銀会合での政策修正の思惑が走って円相場は大荒れとなり、一時は141円台に突入。

最終的には節目の145円に限りなく近いところで終わりましたが、偏り過ぎたポジションは、水鳥の羽音にさえ怯えるといった様子です。

コモディティ市場では、金・銀・銅に利食いが進み、金と銅が2%安、銀が10%安。WTIは4%安と、6週連続で下がりました。

米11月雇用統計は19万9千人増と前月の15万人増を上回りましたが、自動車労組のスト終了の影響が+3万人ほどあるとのことなので、だとすれば実態は、10月が18万人で11月が17万人くらいと、あまり変化が無いのかもしれません。

失業率は0.2%下がって3.7%。
平均時給は、前月比では+0.4%と、前月の+0.2%から加速していますが、前年比では+4.0%と前月と同じでした。

労働参加率は0.1ポイント上昇して62.8%ですから、貯金が尽きて、みんな働き出して失業率も下がっているといった様子に見えます。

労働参加率62.8%は、コロナ前2019年6月と同じ数値です。

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December 03, 2023

今週の相場(12/1時点)

今週のS&P500は+0.8%、NASDAQは+0.4%、日経平均は0.6%安。

米長期金利は4.47%→4.20%、ドルインデックスは103.4→103.2、ドル円は149円40銭→146円85銭と、金利安ドル安でした。

ドル円は下げトレンドが明確になっており、円高ドル安材料に敏感です。金曜日にISM製造業景気指数が46.7と予想の47.6を下回って米金利が下がると、148円台から146円台へと、ストンと下に落ちました。

株式では、ダウ(DJI)が好調で、2.4%上がって年初来高値。その他、ラッセル2000が+3.1%、ARKKが+8%と、大型銘柄のみならず、小型株やキラキラ系などへの物色の広がりが感じられます。

コモディティ市場では、金(ゴールド)が+4%、銀が+5%と買われ、金は史上最高値を更新しました。中国やポーランド、シンガポールの中央銀行の購入が目立つと報道されています。

一方、WTIは2%安。延期されていたOPECプラス会合は、30日にオンラインで開催され、複数国が「自主的な」追加減産で合意と伝えられたものの、そのとおりに実行されるのか市場は懐疑的で、WTIは続落しました。

原語の「voluntary」は、気が向けばやる、という意味に取れなくもありません。

29日発表のPCEデフレーター。10月は前年比+3.0%と、前月の+3.4%から鈍化し、前月比では伸び率ゼロ。9月時点でのFRBメンバー予測中央値は3.3%ですから、上出来の結果となっています。

コアPCEも+3.5%と、前月の+3.7%から伸び率縮小。インフレの鎮静化は順調と判断できる数値でした。

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