October 10, 2022

5分で振り返るポンドの歴史(2022年改訂版)

いち早く産業革命によって工業力を増し、1850年代にインドの植民地支配を確立させたイギリスは大英帝国と呼ばれ、19世紀のポンドは基軸通貨でした。

日露戦争の戦費調達のため、当時日銀副総裁だった高橋是清が二度もロンドンを訪れ、ポンド建て日本国債発行に奔走したことは良く知られています。

イギリスの最大支配権地域は、ざっと下図の通りです。

 

Englandcolony201602

1873年に出版されたジュール・ベルヌの「80日間世界一周」は、ロンドンからスエズ運河(エジプト)を通って、インドのボンベイからカルカッタ、そしてビルマを経て香港、横浜、サンフランシスコ、そしてニューヨークからロンドンに戻るというルートですが、日米以外は全て英領でした。

この広大なる大英帝国も、20世紀前半の二度の世界大戦で弱体化します。

ドイツとの戦争で疲弊した英国民は癒しを求め、日本が敗戦する1945年8月の直前7月の選挙で戦争の英雄チャーチルを退陣に追い込み、「ゆりかごから墓場まで」を合い言葉に福祉政策の充実に舵を切りました。労働者の権利は強く保護され、基幹産業は国有化されます。

働く意欲は失われて産業は非効率となり、60~70年代の英国は、労使紛争の多発と経済不振のため、「ヨーロッパの病人(Sick man of Europe)」と呼ばれました。

ロールスロイスもジャガーもこの時期に国有化され、現在ではロールスロイスの自動車部門は独BMW傘下、ジャガーはインドのタタ・モーターズ傘下です。

何しろ病人の通貨ですから、1970年代前半のポンド/ドルは、2.6→1.6と、4割も安くなりましたが、質素倹約と勤勉をモットーに育った雑貨屋の娘サッチャーは、落ちぶれた帝国の姿に奮起します。

「私が戦わなかった日は1日も無い」と猛烈に働き、79年に政権の座に着くと、「働かざる者食うべからず」を旗印(?)に、自己責任、自助努力に基づいた改革に乗り出します。

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December 30, 2018

5分で振り返るポンドの歴史(2018年改訂)

大英帝国を打ち立てた19世紀、ポンドは基軸通貨でした。
日露戦争の戦費調達のため、高橋是清が二度もロンドンを訪れ、ポンド建て日本国債発行に奔走したことは良く知られています。

イギリスの最大支配権地域は、ざっと下図の通りです。

 

Englandcolony201602

1873年に出版されたジュール・ベルヌの「80日間世界一周」は、ロンドンからスエズ運河(エジプト)を通って、インドのボンベイからカルカッタ、そしてビルマを経て香港、横浜、サンフランシスコ、そしてニューヨークからロンドンに戻るというルートですが、日米以外は全て英領でした。

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November 18, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(11/14時点)

      (11月14日)  (11月7日) (増減)
カナダドル  47335     50889  ▲3554
スイスフラン ▲27983   ▲25110 ▲2873
ポンド    ▲4533    ▲9198  +4665
円      ▲135999  ▲127848 ▲8151
ユーロ    84586    85455   ▲869
NZドル   ▲11891   ▲11187  ▲704
豪ドル    44032    45437   ▲1405

ポンド以外は増減マイナスであり、ドル高方向と言えますが、現実のドルは混迷しています。

ドルインデックスです。
Dxy10188885
先月末まで、しっかりしたドル反発トレンドが見えたような気がしましたが、その後は失速。

特に今週のドル円は、後半に謎の下落。
Dy1118554
10月はじめの水準である、112円ちょうど近辺まで戻りました。
ここを割り込むと、110円まで落ちそうです。

米長期金利。
Us10ykinriiikl

2.3%近辺をウロウロしているだけで、方向性は見えません。

一方の短期金利(2年↓)は、FRBの利上げを織り込んで、粛々と上がっているので、長短金利差は縮小し、特に金融機関に関してはベアなサインを出していることになります。

Us2ykinrii563

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November 04, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(10/31時点)

       (10月31日) (10月24日)(増減)
カナダドル  57839     72332  ▲14493
スイスフラン ▲20671  ▲11597  ▲9074
ポンド    1245     ▲1485   +2730  
円      ▲118869  ▲116857  ▲2012
ユーロ    72097     83504   ▲11407
NZドル   ▲5707    611     ▲6318
豪ドル    51608    57250   ▲5642

10年振りに利上げしたポンド以外は増減がマイナス。
先週に引き続き、ドル高方向へのポジションシフトが優勢で、ドルインデックスは先週の94.8→94.9と、僅かながら上昇しました。

3日発表の米雇用統計は、就業者数が+26万1000人と大幅な増加でしたが、予想の+31万人には届かず。
失業率は0.1%ポイント低下の4.1%と改善。1時間当たり賃金は前月から横ばいで、前年同月比2.4%増と、前月の2.9%増よりも低下。

結果的に大きな相場インパクトは無く、ドル円は発表前と変わらない114円ちょうど付近で終了しました。
賃金上昇→金利高→ドル上昇という円売り派の願望はなかなか実現しませんが、緩和バカの日銀姿勢から、今後の円安期待は底堅く残っています。

減税政策の実現期待等で2.4%台へ上昇した米長期金利は2.33%へ低下しました。
Uskinri10iik

FRB次期議長はジェローム・パウエルFRB理事(64)が指名され、議会での承認待ち。
学者から実務家へバトンタッチされる格好ですが、基本路線は穏やかな利上げ路線の継承と見られており、株式市場は依然として楽観継続です。

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October 29, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(10/24時点)

       (10月24日) (10月17日) (増減)
カナダドル  72332     75086   ▲2754 
スイスフラン  ▲11597  ▲4931    ▲6666
ポンド     ▲1485    5047     ▲6532
円      ▲116857  ▲101286   ▲15571
ユーロ     83504   90452    ▲6948
NZドル     611    6977      ▲6366
豪ドル     57250   61800    ▲4550

増減が全てマイナスとなり、久々にドル高方向心理が明確になっています。

ドルインデックスです。
Dxy1029666
先週の93.7→94.8。
ECBが量的緩和を縮小し、債券の買入規模を半減するというアナウンスがありましたが、むしろユーロは売られています。

米長期金利です。
Usinteressgg4
先週の2.3%台から2.4%台へ進み、7月の2.38%を越えてきました。

ドル円は今週、何度か114円台に突入したものの、最後は113円70銭近辺で終了。
米金利は7月より高いのに、ドル円が7月の高値114円40銭をなかなか越えられないところから見ると、円のショートポジションが既に目一杯なのかもしれません。

ドル高に賭けるなら、シンプルにユーロドルを売るのが優先的な選択肢になろうかと思います。(↓ユーロドル週足)
Eurusd1029999

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October 22, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(10/17時点)

       (10月17日) (10月10日) (増減)
カナダドル  75086     76392   ▲1306
スイスフラン ▲4931    ▲4262   ▲669
ポンド     5047     15508   ▲10461
円     ▲101286   ▲101419   +133
ユーロ     90452    98079   ▲7627
NZドル    6977     5729    +1248
豪ドル    61800    69182   ▲7382

目立った動きはありません。
リスクオンの典型である円ショートも僅かに減少しており、円を売りたい人は既に皆売った状態でしょうか。

ドルインデックスです。
Dxy5554
先週の93.06→93.66。
近々決まると言われるFRB次期議長への思惑が、一番のファクターになっているようです。

イエレン交代は確実と言われていますが、彼女だけは在任中に「洗礼」を受けずに去るのでしょうか。

12月の利上げ予想は、先週の82→91%に上がり、完全織り込み済みです。

DOWは相変わらず強く、先週は二回も窓開けして上昇しました。
50日移動平均からの乖離率は、4.7%です。
Dow1028


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October 14, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(10/10時点)

       (10月10日) (10月3日) (増減)
カナダドル  76392    75128   +1264
スイスフラン ▲4262   ▲3293   ▲969
ポンド     15508    19949  ▲4441
円      ▲101419  ▲84643 ▲16776
ユーロ    98079    90833  +7246
NZドル   5729     8118   ▲2389
豪ドル   69182    71812   ▲2630

増減はマイナス(ドル高方向)が多いものの、ユーロロングは増加(ドル安方向)と、ドルの方向性はハッキリしません。

反発が続くかに見えたドルインデックスは今週反落。
Dxy101455

ドル円も、円ショートポジションが増えている割には下落し、先週の112円台から111円台へと円高方向に一段進みました。

しかしながら、通常はドル円相場に敏感な日経平均は9日続伸して21年振りの21000円台。
多少の為替動向よりも、もっと大きな世界的株高トレンドに乗り遅れるな、の展開でしょうか。

選挙結果も、株高を邪魔するようなことは無さそうに予想されています。

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October 08, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(10/3時点)

        (10月3日) (9月26日) (増減)
カナダドル  75128    74605    +523
スイスフラン ▲3293   ▲1862   ▲1431
ポンド    19949    5054    +14895
円      ▲84643  ▲71347  ▲13296
ユーロ   90833    88167     +2666
NZドル  8118     8053       +65
豪ドル   71812    77194    ▲5382

あまり目立った動きの通貨ペアはありません。

ドルインデックスは、先週の93.1→93.8とドル高方向。
年初からのチャートを見ると、先月あたりから反発に転じていると見るのが妥当かと思いますが、その持続性については良く分かりません。
Dxy010225
9月雇用統計は、ハリケーンの影響によって雇用者数は3万3000人の減少と、7年振りのマイナスでしたが、失業率は0.2%ポイント改善して4.2%。

また、賃金は前年比2.9%増と、8月の2.7%増を上回って16年12月以来の大幅なプラス。

雇用者数減少を一時的な現象と見るなら、悪くは無い結果でした。

米長期金利は、先週の2.33%→2.36%と上昇。
ドル買いをサポートしています。

Us10ykinriii41

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October 01, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(9/26時点)

       (9月26日) (9月19日) (増減)
カナダドル  74605    58846  +15759
スイスフラン ▲1862  ▲1569   ▲293
ポンド     5054   ▲10161  +15215 
円      ▲71347  ▲51322  ▲20025
ユーロ    88167   62753   +25414
NZドル   8053    6670    +1383 
豪ドル   77194   72512    +4682

全体的には増減プラス(ドル売り)が優勢ですが、ドルインデックスは、先週の92.1→93.1とドル高方向。
ドルの方向性は良く分かりません。

少し長期的に見てみると、ドルインデックスの3年。
Dxy3yhhh
これだと、ドル反発の可能性に見えます。

2010年以降のCFTCポジション(ドル)。
Cftvvvj45

ドルのポジションは、歴史的な高水準とまでは言えないものの、かなり売りに偏っており、どこかで巻き戻しが起こりそうにも見えます。

目先の相場は、FRBの利上げを織り込む動きとなっており、12月の利上げ確率は72%と表示されています。

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September 24, 2017

シカゴ筋ポジションの確認(9/19時点)

        (9月19日) (9月12日) (増減)
カナダドル  58846    50499   +8347    
スイスフラン ▲1569   ▲1314  ▲255
ポンド     ▲10161  ▲46085  +35924  
円       ▲51322  ▲57297  +5975  
ユーロ     62753    86058   ▲23305 
NZドル    6670    12350   ▲5680    
豪ドル    72512    63033   +9479

利上げ観測が台頭したポンドは、ショートポジションの大半が巻き戻し。(ドル安方向)
一方ユーロはロングが減少。(ドル高方向)

ではドルは全体として下げ止まったのかどうか。

ドルインデックス(1ヶ月)です。
Dxy09255
先週よりは少しだけ上昇したものの、アップトレンドになっているようには見えません。

今週の注目点はFOMCでした。

インフレ率の低迷やハリケーンの影響などから、ソフトな内容を予想する向きも多かったようですが、イエレン議長は資産圧縮と利上げ継続を表明。

CME金利先物市場では、年内利上げ確率が、先週の52%→71%にジャンプ。
ドル円は111円前半→112円後半までドル高になりましたが、地政学リスクも意識されて、111円98銭近辺まで押し戻されて終わっています。

FOMC効果によるドル高という小さな波は、ドル安という大きな波に飲み込まれてしまったように見えました。

米国長期金利。
Us10yykijjk
FOMCを受けて、一時2.28%まで上昇したものの、最後は2.25%に低下。

なかなか上がりきれない長期金利の一方で、FRBが短期金利を継続的に上げていくとすれば、長短金利差は縮小します。

下図は、米国の10年金利と2年金利の差です。
Us10oo2pp
債券市場が示す強気度は昨年夏と同じ程度ですが、株価の方は、この1年で15%(SP500)も上昇。

この差はどこから来るのか、上手い説明はありません。

なお、イールドカーブそのものは、まだフラットになっている訳ではありません。
Yieldcurve222

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