March 26, 2023

今週の相場(3/24時点)

今週のS&P500は+1.4%、NASDAQは+1.7%、日経平均は+0.2%。

米長期金利は3.44%→3.37%に低下、ドルインデックスは103.9→103.1に低下、ドル円は131円80銭→130円70銭とドル安。金利低下でドル安株高という素直な反応でした。

コモディティ市場では、銀と銅が+5%、WTIが+4%。

今年になってゴールドは+9%、銀は+7%と、銀が出遅れを取り戻してきました。金の上昇につられて銀のショートカバーが入っているといった解説がされています。WTIは先週13%も下落したので、反動の反発かと思われます。

クレディを買収したUBSは+4%と落ち着いていましたが、次の破綻候補と騒がれているファーストリパブリック銀行は46%安と、依然として地銀不安は払しょくされていませんが、相場の全体像としては、金利安が株への資金移動を後押ししていると言えそうです。

22日のFOMCは、予想どおりの0.25%利上げ。一部では利上げ休止が期待されていましたが、その場合は、それほど金融システムは脆弱なのかと却って不安を煽り、かつインフレファイティングも一時停止と、どちらも得られない結果になった可能性がありますので、FRBの決定は妥当だと思います。

また、イエレン財務長官が保険保護を全預金に拡大することに否定的な発言をしたことで株売りになったとの解説もありますが、彼女の発言は当然のことで、この程度でジタバタすること自体が投資家の甘えの構造を示しています。

ルールを曲げた預金保護は本来モラルハザードですが、そうした批判をかわすために当局は、「破綻時の預金者保護かつ投資家非保護」の姿勢を取っているものと思います。

クレディの発行したAT1債が一部無価値になったことが話題になっていますが、そもそもは増資が困難な発行体が金利の高い債券で見かけの自己資本を充実させることが出来るという大甘(インチキ?)ルールにホイホイ乗った投資家が損をしただけの話なので、これも笑われておしまいでしょう。

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March 19, 2023

今週の相場(3/17時点)

今週のS&P500は+1.4%、NASDAQは+4.4%、日経平均は2.9%安。米国のITやテック系の多くの株は買われています。

米長期金利は3.70%→3.44%と大きく低下、ドルインデックスは104.6→103.9、ドル円は135円10銭→131円80銭。2年金利も4.59%→3.85%に急降下し、金利安ドル安という自然な反応です。

資産規模28兆円のシリコンバレー銀行破綻の直後、NY本拠のシグネチャー銀行(資産規模15兆円)が当局によって事業停止を命令されました。同行は、仮想通貨を使ったマネロン疑惑が報道されています。

次々と破綻する銀行のニュースは、脆弱な地方銀行への取り付け騒ぎ的な不安を誘発し、西海岸を拠点とするファースト・リパブリック・バンク(資産規模28兆円)の株価が週間で72%も下落。大手民間銀行11行が総額4兆円の預金支援を発表しましたが、株価下落は収まっていません。

欧州では、もともとダメ銀行のクレディスイス(資産規模75兆円)に不安が伝染し、UBSが救済合併を検討しています。かつてのスイス3大銀行(UBS、スイス、クレディ)が一つになってしまうことは、ほぼ確定的です。

金融関係者は不安払しょくのために、過去の経験を生かして様々な努力をしていますが、何か対策が発表されると、それほど悪かったのかとまた不安が走るという悪循環心理は収束しておらず、中小銀行からのシフトで預金が大幅に増えているというJPモルガンやウエルズファーゴといった大手銀行でも株価下落が止まっていません。

モルスタの22%株主であるMUFJは今週10%下落、SMBCは11%下落と、日本の金融株への負の影響も続いています。

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March 12, 2023

今週の相場(3/10時点)

今週のS&P500は4.5%安、NASDAQは4.7%安、日経平均は+0.8%。

米長期金利は3.96%→3.70%、ドルインデックスは104.5→104.6、ドル円は135円80銭→135円10銭と若干のドル安。2年金利も4.86%→4.59%に大きく低下。

金利は急低下しましたが、ドルは安全通貨でもあるので、為替相場でのドルの下げは限定的でした。

注目の雇用統計から主役の座を奪い、金利低下の主因となったのは二つの銀行の破綻でした。

仮想通貨分野に集中していたシルバーゲートキャピタルは銀行業務を任意清算することを決断。株価は2021年の220$が今は2.5$です。

もう一つは、テック企業への融資で著名シリコンバレーバンク。保有債券を全て売却して身売りも検討しましたが、預金流出が止まらずに当局の管理下となりました。

少し前まで、米国の金融システムは健全なのでソフトランディング可能といった意見がありましたが、俄かに金融業界への懸念が台頭し、日本のMUFJも金曜日に6%も売られました。

FRBは10日、米国に拠点を置く銀行に緊急調査に入り、資金繰りを点検するために預金や資本の状況を確認していると報道されています。自らの利上げで仕事が増えましたが、FRBが無能でなければ、ある程度想定できていたはずです。

2月雇用統計は、雇用者数は31万1000人増と予想を上回ったものの、失業率は3.6%と前月の3.4%から悪化し、賃金は前月比+0.2%と予想の+0.4%の半分。

労働参加率が62.5%と、前月より0.1%上昇し、コロナ前の63%台の水準に近づいてきたことも良いニュースで、0.1%は約17万人に相当します。

タイトだった雇用状況にも、ようやく軟化の兆しが見えたこともあり、株式投資家が待っていた金利低下が実現したものの、それは一部銀行への懸念という新たなリスクオフ材料によってもたらされた面が強いため、株は売られました。

コモディティ市場では、WTIが4%安、ドクターカッパーも1%安でした。

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March 05, 2023

今週の相場(3/3時点)

今週のS&P500は+1.9%、NASDAQは+2.6%、日経平均は+1.7%。

米長期金利は3.95→3.96%、ドルインデックスは105.3→104.5へ低下、ドル円は136円40銭→135円80銭とドル安。2年金利は4.81→4.86%に上昇していますが、長期金利はほぼ変わらずで、ドル安株高の週でした。

3週連続で反省ムードが続いたので、その反動で今週はリスクオン気分がやや勝ったのかもしれませんし、中国2月製造業PMIの上振れや米ISM製造業指数のコスト上昇などで、一時4%台に復帰した長期金利がすぐに3%台に下がったことも株にはプラスだったかと思われます。

CMEのFedWatchでは、3月22日のFOMCで0.25%利上げして5.0%になるとの予想が72%。ターミナルレートは5.5%で、利下げは来年といった予想が最多です。

コモディティ市場では、WTIが+5%、銅が+3%など、中国景気への期待やドル高一服などで、全般に堅調でした。小麦価格は比較的安定しているものの、3月中旬に「黒海回廊」の延長を控えており、ロシアの出方がリスク要因です。

アダニショックで大きく揺れたインド株は、米投資会社GQGパートナーズが同グループに2500億円程度の出資をするといったニュースで、持ち直しの兆しを見せてきました。

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February 26, 2023

今週の相場(2/24時点)

今週のS&P500は2.7%安、NASDAQは3.3%安、日経平均は0.2%安。S&P500は2月になってから1月上昇分の半分を失い、節目の4000を割り込みました。

米長期金利は3.82%→3.95%に上昇、ドルインデックスは103.9→105.3へ上昇、ドル円は134円10銭→136円40銭。2年金利も4.62%→4.81に上昇し、金利高ドル高方向でした。

1月雇用統計以降、消費や物価関連で強い経済指標が続いて株価調整が続いていますが、今週発表されたPCE物価指数もまた強く、総合が+5.4%(前月5.0%)、コアが+4.7%(同+4.4%)と、前月数値を上回り、金利高株安トレンドが継続しました。

FedWatchでは、3月0.5%利上げ予想が27%にまで増え、年内に利下げが始まるとの予想者は37%と、半分以下に減りました。

しかしながら、本当に景気(消費)は強いのかどうか見方は分かれており、ウォルマートやメーシーズなど小売り系銘柄の株価は年初来横這いですし、ホームデポはマイナス。不動産市況は間違いなく冷えており、家賃等の下落が主要経済指標に反映するには遅効性があるとの指摘もあります。

最近の経済指標はインフレ再燃のサインなのか、短いリバウンドに過ぎないのか。あと数か月の観察が必要だと思われます。

コモディティ市場では、9週連続の原油在庫増加でWTIは上値を抑えられています。銀と銅は4%安。

年初来のドクターカッパーは、1月に10%上げて、2月は6%の下げ。2月の株式市場は、景気強過ぎて下げ、の反応ですが、コモディティ市場では、景気は思ったほど強くないから下げ、の反応のようにも見えます。

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February 19, 2023

今週の相場(2/17時点)

今週のS&P500は0.3%安、NASDAQは+0.6%、日経平均は0.6%安。

米長期金利は3.74%→3.82%に上昇、ドルインデックスは103.6→103.9、ドル円は131円40銭→134円10銭。2年金利も4.53%→4.62%に上昇し、金利高ドル高の方向でした。

注目された米1月CPIは前年比6.4%上昇で、前月の6.5%から減速し、コア指数も5.6%上昇で、前月の5.7%から鈍化。ただし前月比は、CPIが0.5%上昇(前月+0.1%)、コアは0.4%上昇(前月+0.4%)。

続いて米小売りは前月比3%増と、予想の2%増より上。

そしてPPIは前年比+6.0%(前月+6.2%)、コアPPIは+5.4%(前月+5.5%)。CPIもPPIも、小幅改善したものの、予想よりは上振れでした。

大きな流れとしてインフレは鈍化傾向ではあるものの、そのペースは事前の期待ほどではなく、雇用、消費、物価全て強めの好景気という理解になり、米金利は上昇しました。

FedWatchでの最多予想は、年内あと3回利上げしてから1回利下げと、また少し金利観が上振れしていますが、その割には株価はしぶとく、そもそも期待度は低かったとの理解も出来そうです。

経済指標が絶好調のため、当分は景気後退しないという「ノーランディング」予想も出てきていますが、その一方、信用度の低いサブプライム層の自動車ローンの支払いに関して、30日以上遅延している割合が9%を超えてリーマンショック時に近い状況だとWSJが報道しており、FRBは今後の利上げペースについて、難しい目配りを迫られていくかもしれません。

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February 12, 2023

今週の相場(2/10時点)

今週のS&P500は1.1%安、NASDAQは2.4%安、日経平均は+0.6%。

米長期金利は3.52%→3.74%に上昇、ドルインデックスは103→103.6、ドル円は131円20銭→131円40銭。米金利上昇でドル高方向でした。

2年金利も、4.29%から4.53%に上昇です。

コモディティ市場では、WTIが+9%。欧米のロシア産原油上限価格設定に対抗してロシアが減産の方針と報道されました。

小麦が+4%。ウクライナ戦争の戦況激化を受けてウクライナ産小麦の輸出が減るとの観測が伝えられています。

金・銀・銅は小動きでした。

日銀総裁に経済学者の植田和男氏を起用方針とのニュースで一時的に円高になりましたが、誰が総裁になろうが日銀のバランスシートは極めて脆弱であり、今後出来ることは極めて限定的です。

「敗戦しか残されていない」状況を良く知る内部からの総裁候補は、全員が全力で逃げました。

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February 05, 2023

今週の相場(2/3時点)

今週のS&P500は+1.6%、NASDAQは+3.3%、日経平均は+0.5%。ちなみに1月の結果は、S&P500+6%、NASDAQ+11%、日経+5%でした。

米長期金利は3.51%→3.52%と小幅上昇、ドルインデックスは101.9→103、ドル円は129円80銭→131円20銭。2年債金利が4.20%から4.28%に上昇しており、為替はドル高に振れました。

2月1日のFOMCは予想どおりの0.25%利上げ。パウエル議長の会見では、特段これまでのトーンからの大きな変更はありませんでしたが、「ディスインフレのプロセスが始まった」との新たな表現や、株高への直接の牽制が無かったことで、株式市場は年初からの買い姿勢を強めることになりました。

金曜日の1月雇用統計は雇用者数が51万人増と、何か特殊事情がありそうなほど多く、失業率も3.5%から3.4%へ低下。賃金上昇率は前年比4.4%と、これで直近3か月の推移は、4.8%→4.6%→4.4%と下げトレンドが維持されています。

それにしても51万人は、ゴールドマンサックスの30万人予想さえ遥かに超える驚きの数値。

労働参加率が0.1%上がっているため、この影響による15万人が全員就職でき、加えて既存ベースで36万人の純増といった理解も可能で、FIREのつもりだったがインフレで苦しいから働きに戻ってきて、求人が少し楽になって賃金上昇も鈍化、ということなら一応は辻褄が合いますが。

これを受けて金曜日のNY市場は、金利上昇株安になったものの、長期金利自体は3.5%近辺で安定していますし、株価も週単位では上昇です。

コモディティ市場では、ドル高の影響もあってか調整が入り、金・銀・銅が3~5%の下げ、WTIが8%安と大きめの下げ。

これで、年初来で銅は上昇しているものの、WTIは下げに転じました。中国経済再開期待はあるものの、原油市場は利上げ継続による景気後退を強く意識しているように見えます。

最後は現物を受け取らなければならない商品市場では、マイナスも起こりうることを、我々は学びました。

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January 28, 2023

今週の相場(1/27時点)

今週のS&P500は+2.5%、NASDAQは+4.3%、日経平均は+3.1%。

米長期金利は3.48%→3.51%、ドルインデックスは102.0→101.9、ドル円は129円50銭→129円80銭と、いずれも小動きでした。米長期金利は、3.5%近辺という評価が定まった感があり、債券為替市場が安定する中、株価は堅調でした。

22日、例のニック・ティミラオスが「次のFOMCでは、今春に利上げを一時停止できるか議論を開始する可能性がある。」との記事を書き、またカナダ中銀が25日、政策金利を0.25%引き上げて4.5%としたものの、利上げを一旦停止する可能性を示唆したこともあり、FRBの利上げが終わりに近づいている可能性が意識され、この機会を逃さずに株価を押し上げたいという意欲が支配的な1週間でした。

また12月の米個人消費支出(PCE)物価指数が前年比4.4%上昇と、前月の4.7%から鈍化したことも、インフレが鎮静化方向に向かっていることを示す朗報。

Fedwatchでは、2月1日FOMCでは0.25%利上げ予想が99%と確定的で、パウエル議長が、今後の利上げペースに関してどういったニュアンスの発言をするかが焦点となりそうです。

コモディティ市場は全般に小動きで、WTIは3%下げ。天然ガスは6%下げてピークから7割減となり、ウクライナ侵攻以前の2021年水準に戻りました。

なお年初来で見ると、ゴールドが+6%、銅が+11%となっており、投資家の関心は、ドル安と中国経済の再開期待に向いているように思われます。

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January 22, 2023

今週の相場(1/20時点)

今週のS&P500は0.7%安、NASDAQは+0.6%、日経平均は+1.7%。

米長期金利は3.50%→3.48%に下落、ドルインデックスは102.2→102.0、ドル円は127円80銭→129円50銭と円安方向。株も為替も小動きで、明確な方向性は掴みにくい展開に見えます。

今週は、日銀会合が世界的に注目されるという極めて珍しいイベントがありましたが、結局日銀はホテル「YCC」からチェックアウトして現実を直視する勇気を出せず、得意の問題先送り。インフレ下で金利を強引に抑え込むという愚策の継続を選択しました。

日銀次第では大きく円高株安という正常化(?)が進む可能性があったので、キャッシュを多めに用意してバーゲンを狙いましたが、無駄でした。日銀が買い支える日本株は、同じ場所を堂々巡りしています。

ドル円は失望によるショートカヴァーで128円から131円に一気に弾んだものの、基本的には材料が出なかったのですから、ポジション整理が終わると反動ですぐに127円まで戻り、そこから少し冷静な円安が進んで129円という推移。

19日公表の2022年貿易速報によると、貿易収支は19兆9713億円の赤字となり、比較可能な1979年以降で最大の赤字。投機的なポジションはいずれ消えるものなので、結局は貿易収支で為替が動くというのが伝統的なメカニズムです。

コモディティ市場では、銅が+1%、WTIが+2%と、依然として中国の経済再開方針への期待が資源価格を支えている様子です。

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